「昭和天皇物語」
「昭和天皇物語」
「Showa Emperor Tale」
「昭和天皇物語」を読んだ。既刊の14巻まで。
Netflixでヒットになった英国の王室を描いたクラウンのような物は、日本の皇室
においてはあり得ないと思っていた。それが漫画ででも、あそこまで天皇のプラ
イベートを描いたものは初めてではないだろうか。やはりヴィジュアルの力は大き
い。頭では、知っているはずの文字だけの事実、しかし、それが映像化して目に飛
び込んでくるとその文字の事実に色が付く。
日本の皇太子として初めて、ヨーロッパを訪問した事。皇太子、東宮として、その
当時の東宮御所(現赤坂迎賓館)に住んでいた事。大正天皇は病に臥せっている時に、
若干20歳で摂政をしていた事。
ビジュアル化すると言う事は、その場所やその当時の服装や小物、インテリアを描く
必要があるという事。そういう目で、描き込まれている一コマ一コマを見ていくと、
フーンと思う事が多々ある。特に、日本の明治期の椅子座の黎明期、天皇家がまず
椅子を使い始めた。イギリスの皇太子を迎えるために建てられた延遼館の為に作ら
れたであろう小椅子が初めての物だと思われる。
明治村に残る椅子が、おそらくこういう形であるのを想像させる。恐らく、清から
来た大陸系の職人が作った物に柴田是真が漆を塗った物。まだ、イギリスの俗に言う
バルーンバックチェアと呼ばれる原形の椅子のまんまコピー。時代が経つにつれて
日本の職人が作りだし、独自の感覚が織り込まれていく。この手の漆塗りの小椅子系
ではいくつかのバリエーションがある、次第にイギリスの椅子のデザインから大きく
離れていくのが良く分かる。