運慶作の坐像
運慶作の坐像
今月の18日、ニューヨークの某オークション・ハウスで鎌倉時代の
仏師、運慶作と見られる大日如来坐像が競売にかけられると言う。
エスティメート(落札見込み金額)は150万~200万ドル。億を越
える金額である。
現在は個人所有の坐像、出所はあまりはっきりしないとされている
が、他の像との類似性から見て、今は廃寺になり国指定史跡と
なっている栃木県足利市の足利氏2代目の足利義兼が創設した
同市の樺崎寺に安置されていた物と見られている。
2003年には現在の所有者から東京国立博物館の仏像担当者へ
調査の依頼があり、内部のX線写真により五輪塔の形をした木札
や水晶の玉が収められている事がわかっている。通例、この当時の
仏像には署名が内部に行われている事が多く、封印してある内部を
開けると作者がはっきりすると思われる。
これに伴い足利市の文化課の担当者が海外流出を防ぐ為の対策を
国に求める署名運動を始め、「何とか海外への流出を防ぎたい。」と
している。
以上がことの概略であるが、起こっているのが民主主義、自由貿易
の国である以上、国が国をもってしても、この坐像(仮に外国人が
買った場合)が海外に流出をする事をただ単に止める事は不可能
だと思う、ただ1つ購入すると言うオプションを除いては、、、。
例えば、イギリスで同じ事が起こった場合、オークションである金額
で落札され、海外に持ち出される事がわかった時点で、その物が
英国の文化に関連する物とみなされれば、一定期間輸出にストップ
をかける事が出来る、その落札金額で購入する権限を持つことが
出来るという条例がある。しかし、その購入資金が国庫(つまる
ところ国民の税金)から出るわけではない。献金なり、募金なりを
行い、お金をかき集めるのである。(詳しくは以下の記事参照)
昨年あった、多大なチッペンデールの家具のコレクションを擁する
ダムフリーズ・ハウスのハウス・セールでは、カタログを作り、日程を
決め、しかしオークション自体はキャンセルになった。現所有者として
はお金が必要、しかし、これを守りたい人々もいる訳で、その両者が
満足いく解決法が提示できれば、オークション自体も止めてしまった
とう例である。(詳しくは以下の記事参照)
特に、ダムフリーズ・ハウスの資金集めにはプリンス・チャールズも
かなり貢献した一人だそうだ。(もちろん資金を提供すると言う意味で)
個人の私見としては、国が買い上げると言うのは無理だと思う。国宝
や重要文化財として指定されていなければ、国庫から資金を捻出
するのは無理であろう。しかし、現時点で、現所有者を納得させる
だけのお金が提示できれば、オークションにかける事自体から引く事
は可能である。
要はどこからお金を作り出すか??
イギリスの不思議な所、最後に何故か集まってしまうのである。
お金持ちがお金の使い方を知っているのか、税金対策の一環なの
かはさておいて、何とかしたいと言う署名と同時に募金、献金も同時
にすべきなんだろうと思う。もちろん、そうするのであれば、僕も
したいと思う。
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