Scotch Glue
スコッチ・グルー
スコッチ・グルーと書くと何のことだと思うけど、膠の事です。
アニマル・グルーとも言うけれども、やっぱり同業者は
スコッチ・グルーと呼ぶかな。
動物の獣皮やひづめから作られた糊。実はコラーゲンが
たっぷり。舐めてみるとお肌に良いに違いない??
この糊、数千年前のエジプトの時代から家具を作る際に使われ
てきた優れもの、20世紀に入って、合成の糊が登場したけれど
もそれまでは、基本的に家具といえば、これで接着されて来た。
僕が使っているのは、グラニュール・タイプの物。その形状から
パール・グルーとも言う。熱する前に、水に漬けて、ふやかして
置いてから、火にかける。大体60度前後で溶解。どろどろでも
ない、さらさらでもない、丁度良い濃度にお湯を加え調整して
から使用する。
何と行っても、膠の最大の利点は水溶性であるため、除去する
のが楽と言う事。その反面接着力に難があるというか、接合部が
しっかり面と面で無いと、接着力が極端に落ちる、更に衝撃に弱い
等の短所もある。が、修復の観点から見れば、変にがんばって、
接合部を壊す今の合成の糊よりは、ある程度劣化してきたら、潔く
パキッと外れる膠の方が良いような気がする。
ヴィクトリアン中期頃から使われ始めた、ダボ。機械生産が本格化
し始めた頃に登場した、新しい接合法。しかし、悲しいかな、膠との
相性はあまり良くない。と言うよりは、接合部の接する面積が圧倒的
に少ないため強度が足りない。接合部がぐらぐらするのだが、うまく
はずれず、結局はダボが折れてしまう(折ってしまう)。
それでも、毎朝、膠のグルー・ポットのスイッチをオンにするのは
家具修復士の日常也。
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