Italian Painted Chair
イタリアン・ペインテッド・チェアー
タイトル、恐らく、こう書くと間違いに違いない。
18世紀後半の椅子。この時代、厳密に言うとイタリア
と言う国はまだ存在しない。ローマの法王領より南はナポリ、
シチリア王国、北には、トスカーナ大公国、パルマ公国、
ミラノ公国、ヴェネチア共和国にその後のイタリア王国の
母体となるサヴォイア公国と今のイタリア国内に国々が
ひしめき合っていた。
ルネッサンス以降、様々な国からちょっかいを出されて
きたこのイタリア半島の国々。18世紀のイタリア諸国の
家具のデザインはバロックのデザインを継承しつつも、
基本的なデザインは前半はイギリス・オランダの影響、
後半はフランスからの影響が見られる。
一般にイタリアの家具というと、ペインティング(Painting)、
ギルディング(Gilding)、ウォルナット(Walnut)、
ピエトラ・デュラ(Pietra Dura)と言うイメージ。なぜかと思ったら
ここに答えがあった(Click!!)。
確かに戦力が無ければ、植民地分捕れないし、お金が
無きゃ、良いベニアも買えない。凄く単純な答えだったが、
今まであまりにも見逃していたこの事実。
もちろんこれはイギリス国内でも当てはまる。需要のある
ロンドン、高いベニア買ったって大丈夫。→パトロンがいるから。
しかし、地方の家具職人、高いお金出して、高いベニア買っても
誰もそんな物買わないよ。→必然使わなくなる。
ついつい家具ばかり見ていると、その後ろの社会背景を見逃して
しまいそうになる。家具ほど生活に密着した物はないのに、、、。
さて上の椅子、恐らくヴェネチア製、ウォルナット製のフレームに
装飾した物。ロココの曲線をうまい具合にアレンジしフランス製
とは違う味を出している。個人的には結構好きな椅子の1つ。
ただ、しいて言えば、出来がやや悪いんだよなあ、フランスのに
較べると。でも、人々が木目の美しさより、ペイントの美しさを
取ったのもわからないでもないなあと思うのですが。
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