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2008/04/15

Smoker's Bow

スモーカーズ・ボウ

Blog1

「キャプテン・チェアー」とも呼ばれるこの形の椅子。
1840年頃から1930年ぐらいまで、ロンドン西部、テームズ河
沿いのワイコム(Wycombe)地方を中心に作られたデザイン
だが、もともとはアメリカで発達したロー・バック・ウインザー・
チェアーがイギリスに出戻りしてしたもののようだ。

パブの椅子として代名詞的なスモーカーズ・ボウだが、本来は、
オフィスや公共施設、ホテル、図書館などの什器的な椅子と
して使われていたようである。確かに、がっしりした構造。
ウインザー・チェアーほど背もたれは高くないが、普通に座るの
には十分心地良い椅子。長く座る事を想定して作られた
デザインかもしれない。

私が個人的に、初めて購入したのも、このスモーカーズ・ボウ。
木の座面でありながら、座面が広く、お尻の形に彫り込んで
あるので、抜群の座り心地の良さ。その座り心地に惚れて、
ついついローンで買ってしまった一品(ペアでしたが)。今は、
そのペアは手放してしまったので手元にありませんが、違うの
を未だに使ってます。

普通、楡(Elm)の座面(もしくはブナ)にトネリコ(Ash)、楡(Elm)、
ブナ(Beech)のスピンドルや、脚で作られている。うちで
使っているのも、楡とブナ製である。上のスモーカーズ・ボウ、
座面は従来の楡なのだが、それ以外はイチイ(Yew)で作ら
れている。加工のし難い木のなのだが、磨くと飴色の艶が
出る。西洋では昔から弓矢の弓として使われてきた。

Blog2

飴色になった背もたれ。
イチイの木目はえもいわれる美しさである。

一般に、ヴィクトリア時代中期頃までの物は、前から見ると
座面の前縁が驚くほど薄く尖がっている!! 真ん中に行くに
したがって1インチ強(2.54cm)の厚さになるので強度的には
問題ない。この頃から廉価版の機械をさらに使って作った
スモーカーズ・ボウも増えてくる。座面を見ると一目瞭然で、
廉価版は平板をちょっと機械彫りしたような感じで、前縁も
かなり厚ぼったい。ウインザー・チェアーの流れを汲んだ
ほっそりした引き物脚から「ピアノ・レグ(Piano Leg)」と
呼ばれる、鈍重な引き物脚へと移行していく。さらに、20世紀
初頭には従軍用の椅子としても作られたものの脚は、
引き物脚と言うよりは先細った丸棒に筋を刻んで装飾を
ちょっとつけたものと、簡略になっている。

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