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2008/05/26

デジタル複製の功罪 番外編

デジタル複製の功罪 番外編

レプリカにしてもリプロダクションにしても製作者に悪意があれば、
間違いなくその物は、贋作と言う烙印を押される。さらに、その時
その製作者に悪意は無くとも、その後において、その物が贋作と
言う扱われ方をする可能性は十分ありうる。

ここ最近、イギリス(のみならず)で2つの美術・アンティーク業界を
揺さぶる出来事があった。

一つ目は、事件自体は1989年から2006年に掛けて行われた、
ボルトン(あの中田選手がいたボルトンです。)のあるファミリーに
よる贋作による詐欺事件。→記事

もう一つは、まだ進行中であるが、BADA(British Antique Dealers
Association、英国骨董ディーラー協会)にも所属していた(つい
最近辞任した)ある家具ディーラーとその雇われ修復家によって
行われた贋作(?)による詐欺事件。→記事

ボルトンの事件は最近、TVのドキュメンタリーでもやっていたの
で判決の出た今年1月後、かなり落ち着いたと思われる。しかし、
その贋作を作っていたのは47歳、無職、就業経験無しの両親、
おばと暮らす男性で、近所のDIYショップで買った道具を使って
全て作ったと言う。その男性の父親84歳が、ディーラー等への
売り込み、つまりセールス担当、母親83歳が古いタイプライター
等を使用してそれに関する書類を作っていたそうだ。

大英博物館などでは、炭素14年代測定などを使った科学的な
年代測定方法を1950年代から採用している。有機物の素材に
含まれる炭素14が一定の割合で崩壊する事を利用した物で
ある。それ以外にも電子顕微鏡やX線、紫外線を使った、ありと
あらゆる最新機器が贋作を暴き出す為に使われている、が、
それでも騙された。

悪く言ってしまえば、痛快な話である。彼が作った贋作は、絵画
からマーブルの彫像にまで及ぶ。騙されたのは、そうそうたる
美術館、博物館、オークション・ハウスが含まれる。彼が作った
贋作品(作品??)は裁判所の判決により、全てを取り壊すべきで
はないと言う事になった。芸術新潮の大英博物館の「FAKE?」展
の特集で荒俣宏氏が言っているように、贋作はある意味では
アートとも呼べる製作活動の一つである。悲しむべきかな、
オリジナリティ(originality)と言う物が掛けているが故に、贋作と
言う烙印を押される。しかし、工芸と言う目でそれらを見た時、
そして、ある程度の時間が過ぎた後では、その物達は、また違った
輝きを放つかもしれない。そう考えると、複写機を使った
なんちゃっての複製を有難がって買うほうもなんだかなあと
思っていまうのである。

参考文献: 「芸術新潮」 1990年7月号 新潮社

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