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2008/09/10

Ebony and Ivory

黒檀と象牙

確か、80年代に「エボニー・アンド・アイボリー」という曲が
ポール・マッカトニーとスティーヴィー・ワンダーデュエットで
ヒットした記憶がある。歌詞はピアノの鍵盤の白(象牙)と黒
(黒檀)がハーモニーを奏でるように肌の違う人種同士も
仲良くしようという趣旨だったはず。

家具史上で黒檀、象牙が登場するのはかなり昔に遡る。黒檀は
古代エジプトの家具(棺桶)ですでに使用されているし、象牙は
彫刻の素材としては氷河時代から、キリスト教の時代に
なってからもカスケットなどの装飾用に使われている。

17世紀に入ると、海上の航路(特にオランダ東インド会社)を
通じてヨーロッパに黒檀がもたらされるようになる。高価な材の
為であろうか、ほとんどは薄く切ってベニアとしての使用が多い。
また、黒檀の様に目の詰まった材(フルーツ系の樹が多い)を
黒く塗って、黒檀に似せる技法も生まれる。

また象牙は大きな面積が取れない為、ベニヤとして、または
引物の飾りなどで使われるのが主である。

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上の写真は、19世紀後半に作られた、無垢の黒檀製の
アームチェアーに象牙の装飾引物が付けられている。
その時期、イギリスの統治下にあったインド、イギリスから
家具のデザインが持ち込まれ、本国への輸出向けの家具が
地元原産の木を使って作られることになる。黒檀と象牙、この
2つの高価な素材の組み合わせはこんな状況で生み出された
のだろう。

ゴシック・リヴァイバルの影響だろうか、足はねじりん棒
(バリーツイスト)。黒檀は水に入れると沈むほど、重い樹だが
それほど硬いという訳ではない。切ったり削ったりする作業効率
もそれほど悪くなく、それでも、この椅子を作り上げるには
多大なる労力がかかったに違いない。

象牙は、ワシントン条約により輸出することが出来ない。今の
樹脂で出来た象牙代換品は良くは出来ているが、小さな引物
などで使うと強度的に持たず割れてしまうことが多い。直すのに
未だ象牙を使わなければいけないというのは、なにか時代に
逆行するような気がしないでもない、と思ったりする。

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