Coromandel Lacquer
コロマンデル・ラッカー
西洋でコロマンデル・ラッカー(またはバンタム・ワーク)と
呼ばれる装飾がある。インド南部のコロマンデル海岸から
船に積み込まれヨーロッパにもたらされたことに起因する。
イギリス東インド会社もコロマンデル海岸沿いの港町マドラス
(現チェンナイ)に拠点を置き、セント・ジョージ要塞を築き
東西貿易の中継地点とした。
コロマンデル・ラッカーと呼ばれてはいるが、これはインドで
作られたものではなく、中国産で生産されたものである。その頃
の中国は、明(1368~1644)の後期、そして清(1644-1912)の
前期と激動の時代。ヨーロッパのルネサンス、羅針盤の発明
から始まった大航海時代によって、遠くアジアにもヨーロッパの
船が渡来するようになる。中国のシルク、陶磁器や日本の漆器
などを求め、イギリス、オランダが東インド会社を設立したのも
この頃の話。
日本語では彫漆(ちょうしつ)と呼ばれるカテゴリーの存清(星)
(ぞんせい)と呼ばれる技法のようだ。木地の上に煉瓦の粉、
豚の血、生漆を混ぜたものを重ね、層にしていく。厚みが
数ミリメートルまで積み上げられた後、大概黒か茶の仕上げ漆
を塗り、その後、デザインを彫っていく。そして彫った所へ、色漆、
もしくはオイル・ペインティングで着色していく。出来上がりは
まるで、木版画を見ているような感じになる。(もともとのアイデア
は木版画のようだ。)
家具の装飾として見ることはあまり多くはないが、ヨーロッパへの
輸出用でかなりの数のコロマンデル・ラッカーで装飾された屏風
が作られた。大抵は2メートル近い高さで、6枚もしくは8枚のかなり
大面積の屏風である。その前に立つと、まさに色彩に圧倒される
感じである。これは博物館などで見ることが出来るかも知れない。
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