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2008/11/08

French Polish

フレンチ・ポリッシュ

フレンチ・ポリッシュと言う言葉をアンティーク家具屋さんで
聞いたことがあるかもしれない。そもそも、フレンチ・ポリッシュ
って何だ??という疑問が湧く。

あまり古いものはわからないが、17世紀オークの時代の家具は
仕上げるのにワックスやオイルベースのヴァーニッシュ(Varnish)
使われてきた。ヴァーニッシュは亜麻仁油(Linseed Oil)等のオイル
にコパール(Copal)やロジン(Rosin)等の木や植物から採取された
樹脂を溶かして使われていた。これでかなり頑丈な塗膜が表面
に出来るはず。しかし、唯一の欠点は乾くのが異様に遅い事。
チークオイルなんてのは完全に乾くまでに数カ月を要するので
表面は絶えずぺたぺたしていたはず。逆に言うと、耐水性が付き
汚れなども付きにくいはず。

そこで1700年頃から、主流になりだしたのがスピリッツ(アルコール)
ベースのヴァーニッシュ。この頃から、家具の製作も
キャビネット・メーカー(Cabinet Maker)と呼ばれる専門の職人が
作り始めているので、作業効率が重視されて、乾きが速いのが
重宝されたかもしれません。その中で、一番有名なのがシェラック
(Shellac)と呼ばれるある虫から作られる樹脂を溶かした物。

そして19世紀に入り、フレンチ・ポリッシュが登場します。
フレンチ・ポリッシュとは技法の事。フランスで主流だった鏡面仕上
に近いピカピカに表面を仕上げる方法。タンポ(Rubber)を使うのが
特徴で木目の導管を埋めていくのにパミス・パウダー
(Pumice Powder)や煉瓦の粉などを表面に振り撒き、それを
タンポで押し入れながら仕上げていきます。イギリスでは、
あまりにも表面をテカテカにしてしまうこの方法は好まれなかった
よう。

Blog4

フランスの19世紀後半の小テーブルの天板。よく見ると、導管が
白く目立ってきているのがわかります。長い間に、導管に埋めた
パミス・パウダーが乾き、白く浮き出してきてしまいます。さらに
長年紫外線にさらされてきた塗膜の色の劣化。透明に近かった
ものがだんだん白濁していきます。亜麻仁油なんかも一緒で
時間が立つとどんどん黄色くなっていきます。右斜め下が
アルコールで軽く洗った所。マホガニーのもともとの色がしっかり
出てきます。

いくら昔、オイル・ヴァーニッシュを施されていても、塗膜がずっと
持つはずではなく、時代時代に新しく化粧直しをその時の技法で
され続けてきています。そういうのを見ると、いつその家具が
直されたのか推定するのに役にたったりします。

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コメント

いつも楽しんで拝見させていただいております。

日本は不況と言われながらも繁華街はものすごい人ごみです。
皆、安いものに群がっています。

高価な輸入家具は売れないのと円高で安くなりそうです。

今回の記事でアルコールでふきあげた画像がありましたが普段は古い塗装を剥ぐ薬剤は何をお使いですか?

amsuzuさん、こんにちは。

安くても、やっぱり良いものを買っておかないと、後々損しそうです。安物買いの銭失いにならないようにしないと。日本が一度は超えてしまった状況が、今から世界中に波及します。買い付けでも、今からが、本格的に良い物を買う機会かもしれませんね。

剥離ですが、個人的には剥離剤(Nitromors)と呼ばれる物を使うのは好きではありません。と言うのは、剥離剤は、導管の中から丸ごと剥離してしまうので、元の状況に戻すのに、偉い手間がかかるからです。エタノールとスチールウールの洗浄と言う方法が、表面から徐々に落としていくため、基本的には修復には合っていると思います。(上からペンキのような物で塗装されている場合はまた違います。レーザーを使う方法もありますが、試したことはないです。)そもそも、剥離をしなければいけない状況と言うものは、そんなに多くはないはずです、が、その後ウレタン塗装をするなどの事をするのであれば、剥離剤を使用するしかないでしょうね。

私の家にある家具は難あり品がほとんどです。
店で修復されたものより、倒産品、オークションや骨董市で手に入れたものまであります。
安いということもありますが、店買いではまずよいものが手に入らないし、ピカピカでつまらないモノばかりです。
確かに不況の末期にはとんでもないものに巡り合うことがあります。
以前真贋をお聞きしたギローの机なんかもそうでした。
手に入れたとき、表面にはニスが何度も上塗りされているものがほとんどで、それをいつも木工用コンパウンドとスポンジヤスリでなるべく薄くなるまで剥ぐようにしています。
ムラにならないように仕上げるのが難しいですが
ラックニスでごまかしてなかなかいい仕上がりになります。
エタノール+スチールウールは使ったことがありませんので今度試してみます。

私の個人的な好みとしては、導管はある程度しっかり埋まっていて、でも、平らな部分の塗膜は出来るだけ薄くと言うのが理想的です。確かに表面を鏡面のように仕上げることは可能です。フランスの家具などでは良く見る仕上げですが、カントリー系の家具には向かないのは御想像の通りです。問題なのはヴィクトリアン中期頃から使われる着色されているポリッシュ。これを剥がしてしまうと、元の状態に戻すのはほぼ無理です(大概は剥がした方が綺麗に仕上がるので、あまり問題はないですが)。仕上げに関しては、私もまだまだ勉強中です。奥が深いです。

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