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2008/12/17

Gentlemen

紳士(地主?)

先日、あの「国家の品格」の藤原正彦氏の著作
「遥かなるケンブリッジ」を読んでいるときにこんな記述に
出くわした。

、、、、善きにつけ悪しきにつけ、現代イギリスを考える上で
欠かせないのは、ジェントルマンの影響である。、、、、、 

さらに彼の解説は続く。端的に書くと、ほぼ14世紀から19世紀
までの間最上層の貴族(公、候、伯、子、男の爵位を持つ者)と
中間層ヨーマン(独立自営農)の間にジェントリーと呼ばれる
準貴族的な階層の社会集団があったと言う。19世紀初頭には
なんとイギリス全人口の3%ほどの貴族、準貴族層が国土の
ほぼ3/4を独占していたたと言う事実。詰まる所彼らは
地主階級で生活基盤として土地を所有しそこからの収入により
生活していた不労階級でもあったのである。

ここで思い出すのが、1754年に出版された
トーマス・チッペンデール(Thomas Chippendale)のディレクター。

正式名称は"The Gentleman and Cabinet-Maker's Director"。
このジェントルマンはまさしくこのジェントルマンではないだろうか。
紳士と家具製作者(作家)のための指南書とでも訳すのだろうが、
発注する者と発注を受ける者を繋ぐカタログとも言える。その
証拠に、この本、序文の後、購読者(Subscribers)のリストが続く。
購読者とはいっても前もってお金を払ってこの本のパトロンに
なった人達、つまり発注者が主である。

発注者であるジェントルマンも受注者である家具製作者も
このリストを確認すれば、「あのディレクターの14ページっぽい
椅子をよろしく。」なんて発注の仕方が出来るであろうと想像
出来る。そう考えると、このディレクター、限定生産である一部の
人の為の本であることがわかる。決して庶民の為にデザインした
訳ではないと言うことだが、彼のデザインがその後の
カントリー・チェアー等に影響を与えていく様子は興味深い。

一軒のうちには普通主人から召使まで色々な人が住んでいる。
屋根裏に住む召使がこのチッペンデールの椅子に座ったとは
思い難い。故に、近所の家具製作者にその椅子を見せ、こんな
感じな簡単な椅子をその辺の木で作ってくれ、と言うのが、徐々
に彼のデザインが広まっていった過程の一つであろう。

本当に家具が一般庶民の物になるには、中産階級が爆発的に
増えた1世紀ほどあとのヴィクトリアの時代まで待たなければ
いけないのだが、、、。

参考文献:「遥かなるケンブリッジ」 藤原正彦著 新潮社

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コメント

初めまして。
すてきな文章とページですね。

趣味で家具作りをしている日本在住のみみずといいます。

いま、日本で馬毛やジュートのウェビングやらコイルスプリングが手に入らなくて四苦八苦しながら何とか家具作りをしようとしています。

時々遊びに来ますので、いろいろ教えてください。

よろしくお願いいたします。

みみずさん
ブログにアクセスしてくださって有難うございます。どれもこれも、今の日本の椅子張りでは使わない代物ですね。イギリスにしても、馬毛等は古い家具から出てくるのを取っておいて再利用したりしているのが現状です。
みみずさんは椅子を作っているのですか??

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