ペイントの除去
Paint Removal
先日、ある雑誌を覗いていたらこんな記事が眼についた。
「Paint Removal」
この雑誌は、The Listed Property Owners Clubから発行
されている季刊誌"Listed Heritage"と呼ばれる物。もちろん
家具の雑誌ではない。
イギリスでは、歴史的にもしくは文化的に何か特別な建物、
構造物に対し、国(地域)としての文化遺産を守るという目的で、
文化財(保存物)として指定される。とはいってもピンキリで、
Grade I と呼ばれる、基本的には外装内装とも手を加えては
いけないものから、Grade II、と呼ばれる外装のみを保存すれば
よいというものまで様々存在する。
つまりListed Propertyと言うのは、その文化財、準文化財等に
指定された不動産の事を指す訳である。したがって、たかがDIY
の類のようなものでも修復・保存的な傾向が著しく強い。
このペイントの除去、赤外線を使うものである。家具でもそうだが
ペイントの除去と言うのは多大なる労力を要する。大抵の場合は
剥離剤を塗布(もしくは、ヒートガンと呼ばれる専門のドライヤーで
焙る)し、柔らかくなったペイントを除去、それを何度か繰り返し、
洗浄、木材表面の調整等を必要とする。さらに、近年ことうるさい、
会社の責任としての安全面の徹底、有害物質を扱う時は、マスク、
ゴーグル、グローブ、換気の良い所での作業。その作業によって
生じる有害廃棄物、そしてその処理。特にEUに属する国々に
とっては、その手の事がことのほか厳しくなってきているのが現状。
1980年後半頃から、スウェーデンの専門家がより安全で
エコ=フレンドリーな方法として発展させたこの方法。木材の中の
樹脂やペイントをを赤外線で温めることにより外へ引き出す。
それによってもともとの木の表面を傷つけることや焦がすことなく
除去し、そしてその作業の後、すぐ次へ移れると言う作業効率の面
でも優れている。
この方法が、すぐ色々な状況の家具の修復に応用すると言う訳
には行かないだろうが、面白いアイデアであることには間違
いない。そのうち、Health and Safety(健康と安全面)が過剰に
行き過ぎると(欧州では行く可能性が多大に存在する)、雇用人の
健康を害すると言って、全ての剥離剤などは禁止されてしまう
かもしれない。そうすると、この方法が唯一の方法なんてことも
あり得るかも知れない。
いつまでオンライン上にあるかわからないが、直接この記事が
読めます。p51より。→ここ
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