Oyster Veneer
オイスター・べニア
ちょうど1700年になろうかと言う頃のチェストの天板である。
その頃、やっと英国にも入ってきたマルケトリーで彩られている。
花や葉は、西洋ヒイラギ(Holly)もしくはシカモア・メープル
(Sycamore)の薄い色の木、その背景に黒檀(Ebony)。白く
見える部分は、本当は緑に染色されていて、動物の骨が
使われている。本当は象牙が使いたかったのだろうが、高価な為
安い代用品で間に合わせている。そこを縁取る、ツゲ(Boxwood)と
おそらく黒く染色された西洋ナシ(Pear)。その外側が、タイトル
にもあるオイスター・べニアと言うものである。
名前の通り牡蠣に様相が似ているから付けられた。写真の物
はオリーブ(Olive)の木。その他にキングサリ(Laburnum)や
クルミ(Walnut)等が使われる。ベニアを木目に沿って切り出す
のではなく丸太を輪切りにするように、木目に対して角度を付けて
切りだしていく。直角の場合もあれば、45度ぐらいの時もあり、
直角ならば切った面は丸い年輪で出てくるし、45度ならばその円
が楕円になって切り出される。しかし、木目に逆らって切る為、
大概のベニアは2~3mmの厚みがある。薄くすると脆いし、厚く
切ると反りの心配があり、なかなか難しい。しかし、出来
上がったものをみると独特の雰囲気があるパターンが産み
出されている。
しかし、その後マホガニーの時代に入ると、すっかり忘れ
去られてしまう。やはり小口が接着面なので剥がれやすかったり
実用的な面で廃れていったもののようだ。300年経った、今なお
現存するオイスター・ベニアで装飾された家具達は中々いい味を
出して個人的には好きな一品である。
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