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2009/05/10

"Seaweed" Marquetry

「海藻(?)」マルケトリー

海藻マルケトリーと呼ぶと変だが、シィ‐ウィード・マルケトリーと
呼ばれる装飾がある。その昔は、アラベスク(Arabesque)模様
とも読んでいたが、シィ‐ウィードと呼ばれる方が多いようだ。

Blog2

ロングケース・クロック(Longcase Clock)と呼ばれる2m以上ある、
背の高い時計の振子の部分の扉になっている表面の装飾。
長い年月で退色してしまっているが、濃い目の所がウォルナット
(Walnut)、薄い所が西洋ヒイラギ(Holly、一般には。でもシカモア・
メープルかも知れない??)。デザインは海藻と言うよりは植物的
と言った方が正しいかもしれない。

そもそも、この装飾が流行した背景には、時のチャールズ2世
(Charles II 1630-1685)がポルトガルからの王女を娶ったことに
起因すると思われる。このキャサリン・オブ・ブラガンザ
(Catherine of Braganza)は、イギリスの上流階級へ、今は
伝統的である、お茶を飲む習慣を持ち込んだ人として有名であ
る。

そして、ポルトガルのあるイベリア半島はかつてムーア人に
支配され、文化、建築等に、強くイスラムの影響が残る所で
ある。17世紀の終わりから、18世紀の頭のほんの少しの間に
流行したこの装飾。そのイスラムの影響が強く残るポルトガル
から来た王女が何らかの物を持ち込んだとしても不思議では
ない。ちなみに、彼女の名前が残る"ブラガンザ"脚
(スパニッシュ脚とも呼ばれる)と呼ばれる意匠がある。

Spanishfoot_2

一番上の写真の真ん中、右左に走る接合線が走るのが見える。
下地はオークの材。その上にシィ‐ウィードの意匠がカットされた
ウォルナット、西洋ヒイラギの薄板(べニア)が膠で張り付けられ
ている。その意匠をカットするのに最低でも6枚のべニアが同時
にフレット・ソー(Fret Sawと呼ばれる糸のこ)でカットされている。

上半分のパネル用にウォルナットと西洋ヒイラギのべニア一枚
づつ。下半分用にもう1セット、プラス捨てベニアと呼ばれる物が
上と下に一枚づつ。その6枚が膠で接着され、シィ‐ウィードの
意匠が描かれ、しこしことカットされる。捨てベニアは切られた
部分の毛羽立ちを防ぐための物。切られた後、西洋ヒイラギの
バックグラウンドにウォルナットのシィ‐ウィード模様を嵌め込む。
一つを裏返して上下で接合すれば、写真のようなパネルが
出来上がる。

逆パターンはないので、ウォルナットのバックグラウンドに、
西洋ヒイラギのシィ‐ウィード模様は捨てられてしまうのかなと
思ってしまう。その当時のべニアは1分の16インチぐらいと
言われる。約1.5ミリ強、×6枚。1cm近い板を糸のこで切って
いくことになる。それも、今のように目の細かい糸のこの刃で
はなく粗い奴。かなりの労力だったに違いない。

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