Wax polish #2
ワックス仕上げ その2
ビーズワックス(Beeswax)は名前の通り、蜜蜂によって作られる。
とはいえ、あえてワックスを作っていると言うよりは、蜂蜜を作る
際に出来るもので、蜂の巣を洗う事によって取り出し、温めて
水分と分離させ取り出す。
色はどんな花粉を蜜蜂が集めて来たかによって異なるが、一般
に1番薄い色は白、濃い物は黄色である。黄色い物を漂泊する
ことによって白くしたりも出来る。
このビーズワックスの最大の特徴は水に全く溶けないと言う事で
ある。それ故に、家具の表面に塗る事によって塗膜を作る。しかし、
融点が低いが故に磨けば磨くほど、摩擦熱によって溶けだし、
思ったほどの光沢は得られないと言う事になってしまう。
そこで考えられたのが、ビーズワックスより高い融点を持つ違う
ワックスと混ぜ合わせると言う方法。選ばれたのはブラジル産の
カヌーバ椰子から採取されるワックス。ワックスの仲間の中でも
1,2を争う高い融点を持つ(84度から91度)。ただし、ブラジル
から輸出されだしたのは1845年頃からなので、家具用のワックス
として使われだしたのはヴィクトリアの時代からと言えるだろう。
その混合物でも、まだ家具に塗るには硬いので、テレピン油で
軟らかくしてペースト状にした物が、今現在市販されている
家具用ワックスの原型だろうと想像出来る。塗られたワックスは
しばらく置いておくことにより、テレピン油が揮発しワックス分だけ
表面に残る。そして磨きあげて仕上げとなる。
トーマス・シェラトン(Thomas Sheraton 1751-1806)の
"The Cabinet Directory"(1803年出版)ではビーズワックスを、
コルク製のブロックで均して磨く、仕上げ方法が取り上げられて
いる。
その他にも、原油から作られたパラフィン・ワックスの仲間である
マイクロクリスタライン・ワックス(Microcrystalline Wax)等が
家具修復に於いて使われる。
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