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2009/10/20

「日本の国宝、最初はこんな色だった」

秋の読書週間その2

Photo_2

以前書いた、「デジタル複製の功罪 その1」「その2」「番外編」
あくまでテレビの一番組を見たのみの感想だったが、さらに一歩
踏み込んだ、このデジタル復元についての書籍である。

修復したいその物を、デジタル化して、ディスプレイ上に表示する
ことによって、本体その物を傷つけることなく、復元(修復)した後
のイメージを簡単に(作業自体は手間のかかる事だが)
ヴィジュアル化することが出来る。ある意味ではリフォーム前、
リフォーム後のイメージとなんら変わらない。また、そのイメージを
オリジナルのフォーマットで複製することによって、そのもの自体
を楽しむ事が出来るのと同時に、製作者の本来の意図が改めて
見えてくる。

著者の小林氏はこれを「参加する視線」と表現する。国宝であれ、
なんであれ、博物館で、絵巻物の1ページを、本来は対の屏風を
一枚だけであるとかをガラス越しに眺めても、本来の楽しみ方は
見えてこない。いつの頃からか、美術品と呼ばれ、人の目を避け、
本来の制作された目的も失われ、ただの剥製のように博物館に
鎮座する物たちに成り下がってしまった。

確かに、国の宝と認識されるもの、丁寧に扱わないと壊れてしまう、
この先失われてしまう場合、保存することは大事であろうと思う。
そういう手においては、デジタル復元、もしくはデジタル複製と
いうのは有効な手段かもしれない。むしろ国宝だからこそ、沢山
複製を作り、日本中の学校に配り、教育用の資材として活用すれ
ば面白いなあと思うのだが。

ヴァーチャル・リアリティの世界が当たり前のようになってくると、
世界中の名品をすべてあなたの部屋に揃えることが可能になる。
だからといって、オリジナル本来の価値が失われるとも思えない。
まだまだこれからのジャンルだけに面白いことが期待出来そうだ。

「日本の国宝、最初はこんな色だった」
小林泰三著
2008 光文社新書
ISBN 978-4-334-03478-8

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