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2009/11/12

"Work Table"

家具史において家具の多様性は、その時代の生活の豊かさと
相通ずるものがある。タイトルにもあるワーク・テーブル、とは
言っても、直訳の作業台ではなんか物足りない。むしろ
ソーイング・テーブルとでも呼んだ方がしっくりくる代物。

 

17世紀頃までは縫物というのはかなり高級な趣味で、まだ針
すらも国内で生産していなくて海外から輸入しなくてはいけな
かった時代。おもにイタリアやオランダから、シルクやビーズ、
金糸等を輸入していた。18世紀の半ばに出された
あのチッペンデールの"ダイレクター"にはこの手の
ワーク・テーブルは紹介されていない。まだまだ、縫物や刺繍
というのは多くの人にとって高根の花だったことが伺える。

 

18世紀末のシェラトンの本ではワーク・テーブルが紹介されて
いて、女性の為のマルチな機能を持ったテーブル。手紙を書く、
刺繍をする、ゲーム(チェスやバックギャモン)をすることなどが
1つのテーブルですることが出来る。大概、兆番で付いた蓋部、
引き出し、中は小さな区切りに分かれていて、糸まきやら
細かい物を収納出来る。この頃のには、上下動出来る
ファイアー・スクリーンや、持ち運びのための取っ手なんかが
付いているものもある。

 

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上のは、ヴィクトリアン後期の物。19世紀になり、中産階級の増加
と共に、女性の間で刺繍はブームになる。それに伴い、数多くの
ワーク・テーブル(ソーイング・テーブル)が作られることになる。

 

これは珍しい、黒漆塗りの物。素材はヒノキ。もちろん日本製。
時の日本の政府は開国後、日本の工芸品の輸出を奨励し、外貨
獲得に力を入れていた。日本でコピーが作られるわけだから
イギリスでの人気ぶりが想像出来る。装飾は青貝を使った螺鈿、
桜に梅、アジサイの組み合わせが何とも言えない。おそらくは
長崎製。

 

Blog9

 

 

 

もうこんな時代から、日本人の小器用さが発揮されている。まったく
国民性というものは変わらないものである。

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