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2010/01/11

Restoration or Fake??

修復、もしくはフェイク??

Blog

昨日、日曜日の新聞で見つけた記事。
ロンドンのアンティーク家具ディーラーでは老舗の一つ、
「パートリッジ」(Partridge Fine Arts)が舞台。1902年、創業で、
4世代に渡るアンティーク家具ビジネスで、ニュー・ヨークの
メトロポリタン美術館やロサンジェルスのゲッティ美術館なども
顧客に連ねたトップ・ディラ―。

しかし、数年前に会社の破産を申請していて、クリスティーズで
在庫処分的なオークションがあり、実質的にオーナーが代わり、
ファミリー・オーナーシップは終わったはず。そして、
その新オーナーの一人が、よくよく会社の帳簿なり、内部資料を
調査した結果、修復と称して、過剰に手を加え、より高い値で
売却していたらしいという事を発見。そして、それを根拠に、
オーナー権を得るときに買った株の支払いを拒否しているという。

興味深いのは、この議論の争点は、"Restoration"とは、と言う
ことである。流石にこの業界に身を置く物としてどう結論が出るの
か、つい気になってしまう。そのオーナー氏が挙げた例に、
19世紀のチューリップウッドの小さなテーブルがある。
パートリッジが、11,500ポンドで買い取ったものに、ギルディング
(金箔張り)を施し(見栄えを良くするためか)、違う顧客に
120,000ポンドで売却したという代物。(上の写真参照)

英国骨董ディーラー協会(通称BADA、The British Antique
Dealers' Association)では業界の管理役として、修復に関する
規約を定めている。

「アンティークと呼ばれる物は、実質的に作られた時と同じ状態で、
なにも加えず、変更もされているべきではない。ただし、実用を
目的とする必要な修理以外は。」

ただしこれは、規約であって、法ではない。いわゆる暗黙の了解
的な物。これをどう解釈するかによって問題は大きく変わる。
例えば、上の小さなテーブル。元々はギルディングであったと、
きちっと証明出来れば、金箔張りにしたという事は、過剰装飾
ではなく、オリジナルの状態に戻したと主張する事が出来るはず。
しかし、100年以上も前の物、そう簡単ではないと思う。
家具修復士はフェイクを作ることは難しい事ではない。故に、
最終的には、職業倫理を、そして、詰まる所人間としてのモラルを
問われる問題になってしまうのではないだろうか。

新聞記事へ(英文)

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