Composition
コンポジション
兎の皮からの接着剤(膠みたいなゼラチン質の物)に
ホワイトニング(Whitinig)と呼ばれる粉末状の炭酸カルシウムを
混ぜたジェッソ(Gesso)は古くは、古代エジプトで家具やミイラの
装飾に使われていた。15世紀頃、そのジェッソに膠や、植物の
樹脂、オイルなどを混ぜたのがコンポジションの始まりと
言われている。(一般にコンポと呼ばれる。)
今、美術館などで使われているのは18世紀後半の
スコットランド人の建築家ロバート・アダム(Robert Adam)がイタリア
に旅行に行った際に入手したレシピがもとになっている。
松脂に生の亜麻仁油、膠が主原料。この材料を煮たてて、スープ
のようになった物をホワイトニングの入ったボウルに注ぎ込み、
ドーナツのドウのように練りこんでいったものがコンポジション。
それを、黄楊や果実の木に彫られた型に入れていく。日本の
和菓子の型や、フランスのチョコレートの型等と同じようなものだ。
そうやって、型から出して裏側の余計な部分を切り落としたのが
完成品。天井などの飾り、家具などにも、そしてヴィクトリアの時代
にはいってからは額縁の装飾へと、様々な物に使われる。
いわゆるサーモ・プラスティックのような素材で、まだ、柔らかいうち
は曲げたり、切ったり容易なので、作業中は乾かさないようにする。
そのうち徐々に亜麻仁油が乾いていき硬くなっていく。大概は、
この上に金箔が張って装飾がしてある。
その昔は、木を手で彫っていた物が、型なので短時間で量産が
可能。特に、ヴィクトリアの時代に人口が爆発的に増えたことも
あって需要も急上昇。特に、絵画のフレームは10枠中8枠が
コンポジションで装飾されているといっても過言ではないぐらい。
ただ、長い時間が経つと、中のオイルが完全に乾いてひび割れを
起こす。さらに同じ素材を使っての修復は同じ型がない限りかなり
難しいのが弱点か。
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