"Grotto Chair"
「グロット・チェアー」
グロット・チェアーと呼ばれる奇妙な椅子。2枚貝が開いたような
モチーフの背ずりに座面、ドルフィンをかたどった肘掛。
脚は岩っぽい。
グロテスクと言う言葉の語源にもなったグロット。小さな洞窟や
窪みを意味する。1500年頃にイタリア、ローマで発掘された
皇帝ネロの黄金宮殿内をグロットと呼ぶことから、その室内の
装飾様式を指す言葉としてグロテスクが産まれた。
過剰装飾であるバロックから、グロテスク(グロット)のモチーフ
岩や貝、イルカ、サンゴ、水の流れなどを通じてロココへと
転じていく。
日本語でグロテスクと聞くとあまり良いイメージを持たないのと
同様、この当時はあまり大っぴらなと言うよりは密かな様式の
ようで、それが一般に浸透しだすのは18世紀も後半の
新古典主義の新しい流れによる。かのトーマス・チッペンデール
も著書のダイレクターの1761年発行第3版に「ガーデン椅子
の為のデザイン」のページで紹介している。(右端)
だからといってイギリスでこの椅子が作られたとか、好まれたか
と言うと疑問で、イタリアやフランスで流行しだしていたデザインを
いち早く取り入れたと言うところだろうか。日蔭者だったグロテスク
もスコットランド人の建築家ロバート・アダム(Robert Adam)により
推進された新古典主義の台頭で、アラベスク様式となり一気
に人気者になっていく。
« e-book | トップページ | East Brothers of Dundee »
コメント