« e-book | トップページ | East Brothers of Dundee »

2011/01/15

"Grotto Chair"

「グロット・チェアー」

P1080826

グロット・チェアーと呼ばれる奇妙な椅子。2枚貝が開いたような
モチーフの背ずりに座面、ドルフィンをかたどった肘掛。
脚は岩っぽい。

グロテスクと言う言葉の語源にもなったグロット。小さな洞窟や
窪みを意味する。1500年頃にイタリア、ローマで発掘された
皇帝ネロの黄金宮殿内をグロットと呼ぶことから、その室内の
装飾様式を指す言葉としてグロテスクが産まれた。
過剰装飾であるバロックから、グロテスク(グロット)のモチーフ
岩や貝、イルカ、サンゴ、水の流れなどを通じてロココへと
転じていく。

日本語でグロテスクと聞くとあまり良いイメージを持たないのと
同様、この当時はあまり大っぴらなと言うよりは密かな様式の
ようで、それが一般に浸透しだすのは18世紀も後半の
新古典主義の新しい流れによる。かのトーマス・チッペンデール
も著書のダイレクターの1761年発行第3版に「ガーデン椅子
の為のデザイン」のページで紹介している。(右端)

Chippendal_grotto_chair

だからといってイギリスでこの椅子が作られたとか、好まれたか
と言うと疑問で、イタリアやフランスで流行しだしていたデザインを
いち早く取り入れたと言うところだろうか。日蔭者だったグロテスク
もスコットランド人の建築家ロバート・アダム(Robert Adam)により
推進された新古典主義の台頭で、アラベスク様式となり一気
に人気者になっていく。

« e-book | トップページ | East Brothers of Dundee »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: "Grotto Chair":

« e-book | トップページ | East Brothers of Dundee »

フォト

instagram

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ