Moulding
モールディング - 型を取る
手に職系の仕事のせいか、個の考え方のせいか、オリジナル
から型を取って複製を作ると言う行為を、何故か、疎んじていた。
あまりにも、お手軽が故に、アンディ・ウォーホールが、
シルク・スクリーンでアートを大量生産したように、同じものが
二つとないアンティークは作り出せないと思っていた。
しかし、良く家具史を見ると、金箔張りの額縁の装飾や真鍮の
象嵌細工なんかでは、その手の繰り返し作業が使われる。
古い物を、同じ手法を使って直すのが修復だとすれば、型を取る
と言う事も1つのオプションになる。
一番有用なのは、ヴィクトリアンの時期に流行ったコンポジション
を使った縁の装飾。コンポジションは可塑剤として亜麻仁油が
使われているので時間が経つにつれ、油分が乾燥し収縮する
ことによって、額の木部との接着に使われている膠が剥離する。
そうやって、部分部分の装飾モールディングが無くなっている
ケースが良くある。
オリジナルは、日本で言う、菓子型のような木製の型に、柔らかく
したコンポジションを押し込んで作るが、その数個の紛失した部分
の為に、木型を彫ると言うのは採算が合わないので、そこで使うの
が文明の利器。20世紀の発明。
一般に使うのは、ゴム系の物とシリコン系の物。
ゴム系で作ってみる。
シリコン系の物。
左は、オリジナルのブロンズのオブジェクト。
右は、その方に樹脂を流し込んだ物。
電子レンジでチンして、その物に注ぐだけで簡単に型が取れる
ゴム系。再利用も出来るので経済的。しかし、柔らかすぎるので
プラスターで補強を作る必要がある時もある。
シリコン系は大概二液製で混ぜて、しばらくすると固まる。物に
よっては柔らかいし、耐熱性に高いので金属だって流し込める。
その代り、一回限りの使用でゴム系に比べると高めの値段。
臨機応変に使い分けるのだが、表面の粗さの違いはややある
物の復原性はかなり高い。ただ種類がかなりあるので、どれが
使い勝手がいいかは使ってみないとわからないと言うのが現実
か。本当にどれがいいんだろ??
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