Tortoiseshell? #2
鼈甲? その2
主にブール・マルケトリーで使われた甲羅は、3種類の海ガメ。
*グリーン・タートル(Green Sea Turtle)
*ロガーヘッド・タートル(Loggerhead Sea Turtle)
*ホークスビル・タートル(Hawksbill Sea Turtle)
グリーン・タートルが一番大きい種類で、ホークスビル・タートル
が一番小さい。実際17世紀終わり頃に、ブール・マルケトリーで
有名な宮廷家具職人ブールが使ったのは、このホークスビル・
タートルの甲羅。鮮やかな黄色に黒、茶色の斑点があり、
コントラストに富んでいる為、一番貴重とされたそうだ。
グリーン・タートルの甲羅は、その名の通りやや緑がかっている。
甲羅の枚数と言うのは決まっていて、下のホークスビル・タートル
の甲羅は、真ん中に5枚、両脇に4枚づつ、周りに16枚の
合計25枚。グリーン・タートルは全部で38枚。日本では透明度が
高いほど珍重されて、ヨーロッパでは斑が多い方が珍重される
ようだ。
ちなみに、日本の鼈甲細工の職人が使うタイマイがこの
ホークスビル・タートル。今でも鼈甲細工が有名な長崎へは
16世紀に南蛮船が持ち込んだ物だと言われている。つまり、
それ以前は鼈甲を使う習慣が一般には日本にはなかったと言う事
(鼈甲を使った装飾品が無かった訳ではない)。
この鼈甲と言う言葉も、もともとは陸ガメの甲羅を指す言葉で、
実際の"Turtle-shell"を指す言葉ではないそうだ。
19世紀の有る時期、このタイマイの甲羅が禁止になった為、その
言い逃れの為にこれはタイマイの甲羅ではなく鼈甲ですよと言う
習慣が今の、鼈甲と言う言葉がタートル・シェルを指すように
なった理由だと言う。
イギリスでは1900年頃の文献ではすでに"Tortoiseshell"と言う言葉
が使われているが、恐らくは、"Tortoiseshell"と"Turtle-shell"が
混同して使われているのも日本と同じ理由かもしれない。
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