What the nation saved
守られた文化財
英国政府が昨年のアートの輸出に関するレポートを発表した。
The Museums, Libraries and Archives Council(通称MLA)が輸出
に待ったをかけた件は10件前後。しかし、そのうち何とか、お金
をかき集め、国外に流出するのを防げたのは4件のみだった。
(アートの輸出禁止について詳しくはこちらを一読)
18世紀、トーマス・ウェントワースによって作られた銀の
ワイン・クーラー。重さは70㎏あると言う。昨年7月に
ロンドン・サザビーズで2億2000万ポンド(英国製の銀に関して、
オークションの最高落札額)で落札されたものの、MLAは即座
に輸出に待ったをかけ、7カ月の猶予を与えた。その間に、
落札額と同額のお金が集まれば、その落札者から買い取る
権利が発生する。いくつかの基金からなんとかお金を集め、
今はリーズのテンプル・ニューサム(Temple Newsam)に展示中。
19世紀のウイリアム・バージズの長椅子。アメリカに行こうとする
所を何とか食い止めた。80万ポンド也。
ウイリアム4世時代のキャビネット。その時代の著名なコレクター
であったウイリアム・ベックフォードが所有していた物。
ベックフォード・タワー・トラストがお金を集め購入。
28万5千ポンド也。
日本製、江戸時代の伊万里のセット。故ダイアナ妃の実家で
スペンサー家が所有していた物。11万ポンド也。
いかに、国内に存在する芸術を国外に流出を防ぐのが難しい
事か。イギリスが自由国家である以上、その輸出に有る
一定時期ストップをかける事が出来ても、その物が販売された額、
もしくは落札された額と同等の値札で第一購入権を得ることが
出来るだけで、お金が集められなければ他の国へ行ってしまう。
ロス・アンジェルスのゲッティ美術館に購入されたターナーの絵。
英国を代表する画家ターナー。ロンドンのテート美術館に似た
感じの絵が所蔵されていると言う事で見送られたようだ。
この景気が悪いさなか、益々資金を調達するのは大変に違い
ない。何を守り、何をあきらめるか、難しい選択に違いない。
Reference:Antique Trade Gazette
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