Palm Tree
ヤシの木
ブラジルに行くと、大きなヤシの木があちこちに見られる。
しかし、ヤシの木が家具の構造材として使われる事は滅多に
ない。同じように竹が使われる事が無いように。
何故だろ?
木目が単純、と言うより無い。年輪が存在しないので均一。
輪切りに切ると水が通る導管だけが無数に存在する。材に
油分が多い故に膠が着かない。大概籐を使ったラタンの椅子は
縛って止めてある。似たような素材の竹も然りである。
竹の場合は材が細いが、ヤシの実の場合はかなり大きくなるので
もってこいだと思うだが、そうはいかないらしい。
実際、ヤシの木をイギリスの家具で使っているのは個人的に
2度しか見た事が無い。
1度目は19世紀初頭のソファ・テーブルの天板の
クロス・バンディングの部分に小口を上にしたベニアで使われて
いた。模様はただのぶつぶつである。
もう1つはネスト・テーブル。
3つのネスト・テーブルで一番大きなテーブルの内側に次の大きさ
のテーブル、その内側に一番小さなものがと、3つが上手く収まる
ようになっている。
天板はマホガニーの躯体板にゴンサロ・アルベスの真ん中に
サテンウッドのクロスバンディングのベニア。
構造材にはヤシの木が使われている。
現代でベニアと言うと、コスト削減の為の安物家具の代名詞だが、
昔の家具でベニアと言うと、その当時の家具職人の探究心の
表れで、絵を書くように、様々な材のベニアが使われている。特に
18世紀の後半以降は、中南米の材やアジアの材が大量に輸入され
初め様々なチョイスが増えた。
全て中南米材で作られたこのネスト・テーブル。このあまり人気の
無いヤシの木をあえて構造材に使った所を見ると、なにか偏屈な
客がオーダーした一品なのかもしれない。
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