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2012/08/10

Palm Tree

ヤシの木

ブラジルに行くと、大きなヤシの木があちこちに見られる。

しかし、ヤシの木が家具の構造材として使われる事は滅多に
ない。同じように竹が使われる事が無いように。

何故だろ?

木目が単純、と言うより無い。年輪が存在しないので均一。
輪切りに切ると水が通る導管だけが無数に存在する。材に
油分が多い故に膠が着かない。大概籐を使ったラタンの椅子は
縛って止めてある。似たような素材の竹も然りである。
竹の場合は材が細いが、ヤシの実の場合はかなり大きくなるので
もってこいだと思うだが、そうはいかないらしい。

実際、ヤシの木をイギリスの家具で使っているのは個人的に
2度しか見た事が無い。

1度目は19世紀初頭のソファ・テーブルの天板の
クロス・バンディングの部分に小口を上にしたベニアで使われて
いた。模様はただのぶつぶつである。

もう1つはネスト・テーブル。

Sam_3460

3つのネスト・テーブルで一番大きなテーブルの内側に次の大きさ
のテーブル、その内側に一番小さなものがと、3つが上手く収まる
ようになっている。

天板はマホガニーの躯体板にゴンサロ・アルベスの真ん中に
サテンウッドのクロスバンディングのベニア。

Sam_3462

Sam_3531

構造材にはヤシの木が使われている。

現代でベニアと言うと、コスト削減の為の安物家具の代名詞だが、
昔の家具でベニアと言うと、その当時の家具職人の探究心の
表れで、絵を書くように、様々な材のベニアが使われている。特に
18世紀の後半以降は、中南米の材やアジアの材が大量に輸入され
初め様々なチョイスが増えた。

全て中南米材で作られたこのネスト・テーブル。このあまり人気の
無いヤシの木をあえて構造材に使った所を見ると、なにか偏屈な
客がオーダーした一品なのかもしれない。

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