ヤマアラシの針毛
Porcupine Quill
世界中に分布するヤマアラシ、その針毛は鋭い。身の危険を察知
すると、全身の毛を逆立てて身を守る。その針毛は毛の進化した
もので、普通の髪や爪と同じ素材のケラチンから出来ている。
古い針毛は抜け落ち、新しい針毛に生え変わる。ヤマアラシが多く
生息する所では時期によって良く地面に落ちている(らしい)。
そんな、針毛、アメリカ・インディアンは首飾りなどに使うが、一般に
は釣りの浮きに多く使われる。
家具では丁度、まだイギリスの支配下にあったスリランカで、
19世紀後半、盛んにこの針毛を装飾に使ったライティング・ボックス
等の小さな家具が作られた。その当時はまだセイロンと呼ばれて
いたスリランカはヨーロッパのアジア貿易の交易地。主に、
ヨーロッパの市場向けの一品であった様だ。
このライティング・ボックス、黒檀のフレームに象牙の装飾、
ヤマアラシの針毛。高価な一品だったに違いない。針毛は普通白黒
の縞々模様だが、その模様をうまく使ったデザインも、紫外線に長く
晒されるとこの通り。白い色は象牙のように柔らかい薄黄色に
黒かった部分は完全にその薄黄色に同化してしまい、そのデザイン
の面影はない。
箱の裏側はかろうじてジグザグのデザインが見て取れる。よく
その針毛が無くなってい足りるので、竹串などが代用で使用されて
いるのをよく見るが、やはり本物を使って修復したいものである。
ちなみにヤマアラシと犬は相性が悪いらしく、グーグルでサーチして
みると、かわいそうな針毛が顔に刺さった犬の写真が一杯出てくる。
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