BA
ビー・エー
家具と一口に言っても、色々な用途の物があり、全ての物が
木で作られている訳ではない。照明(電気配線以外)や
時計(ムーブメント以外)等のオブジェクト系もやはり家具である
から家具修復の対象に該当する。
ガーニチャーと呼ばれる、卓上の置き時計とその両わきに置く
キャンドルスタンドの3点セット。19世紀に流行ったタイプの物で
ある。上の写真は白いアラバスター・マーブルに金張りの真鍮
の飾りで飾られた時計のベースの部分。大概この手は、
真ん中に穴のあいた四角いマーブルの部分部分が、積み
上げられている。その積み上げた物を固定する為にスレッド
(ボルトの頭を切った状態のネジを切った丸棒)通し、両わきを
ナットで留めてある。
さて、困ったのはそのスレッドが紛失している場合や、摩耗して
使い物にならなかった場合。昔のスレッドは何のサイズでネジが
切ってあるのだろう?
今の新しいメートル法を基準にしたスレッドでは合わず、作り直す
羽目になることが多い。フランスが一番早くメートル法を取り入れ
た国で18世紀の末にはもう使い始めている。スレッドが専用の
旋盤を使って作られるようになったのもこの頃で、フランスの家具
ではメートル法ベースのスレッドが使われている。
一方イギリスでは、インチ法ベース。19世紀の頭にウィットワ―ス
と呼ばれる規格が使い始められ、その後出てくるのが表題にも
なっているBA。
British Associationから取られたBA。イギリスの家具ではこれが
使われることが多い。
BAのネジを切る道具。そのサイズにあった金属の丸棒(鉄や真鍮)
の上に、そのあったサイズのタップ部を置き、回して溝を切っていく。
この写真の4つはエドワーディアン期の物。100年選手の工具でも
まだまだ使える。まあ、これは別としてもBAサイズのタップとダイス
は是非手に入れてもらいたい一品。こればっかりは専用の道具が
無いとお手上げである。
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