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2013/02/03

Traditional finish??

伝統的な仕上げって??

よく骨董家具屋のウェブサイトで見かけるこの言葉。伝統と言う
言葉の使い方は難しい。何を持って伝統と言うのか定義が曖昧
だったりする。

現在の家具修復の一般として小さな虫の分泌物で
あるシェラックを主としたアルコール・ベースのワニス(もしくはニス)
を使い、材の表面に塗膜を作り、その後、蜂から採れるワックス
を主原料としたワックスで仕上げる技法が大概である。

この方法が、俗に言う伝統的な仕上げなのだが、果たして本当
なのだろうか??

古代エジプトの家具にはビーズ・ワックスが表面の保護に使われ
ているそうだ。

中世のイギリスではオイルによる仕上げが普通。亜麻仁油や
ナッツ類のオイルが使われていた。17世紀頃になって
オイル・ベースのワニスが登場する。それでも、あの漆の輝きには
程遠く、それ故に遠方の日本を含むアジアの国々からの漆塗り
の家具が大流行するのも頷ける。

1688年に発行されたその模倣漆の指南書であるストーカー氏と
パーカー氏による「模倣漆とワニスの考察」では様々な
アルコール・ベース、オイル・ベースのワニスが登場する。
あの伝統的なシェラックも模倣漆の下地用としてコメントされて
いる。

18世紀はワニス仕上げとワックス仕上げ双方が使われ、18世紀末
の有名なデザイナー、トーマス・シェラトンによる「家具製作辞典」
では、仕上げの項にあの"シェラック"は出てこない。

09copcopal_resin

09benbenzoin_gum

09damardamar_gum

19世紀にはいると、様々な家具の仕上げに関するレシピ本が出版
されるがシェラックのみを主原料としたワニスはなかなか出てこな
い。その代り、上の写真のような他の植物から採れる樹脂との
混合であるワニスが、仏語"Tampon" で仕上げた
フレンチ・ポリッシュと呼ばれる技法が使われ始める。

そして最後に20世紀に近くなり始めた頃にやっと、シェラックを主と
した仕上げが登場するが、第一次大戦終わった頃になり始めると
セルロース・ベースのラッカーなどの新しい仕上げ方法が家具産業
の主力になっていく。

さて、何を持って伝統的な仕上げと言うのだろう??

100年以上経った家具の場合、オリジナルの仕上げが残っている事
はほとんどの場合、無いに違いない。一度、塗膜を剥離をしてしま
うと、その仕上げの痕跡を見つけることは容易いことではない。

時々、機会のあるワックス仕上げなのだろうジョージアン期の家具。
その家具を剥離し、フレンチ・ポリッシュで仕上げる事を修復とは
呼べない。何でもピカピカに仕上げると、その価値を半減させること
すらある。

その家具の作られた時の本当の仕上げを知らなければ、本当の
修復とは呼べないに違いない。その痕跡が無い場合、どうやって、
その仕上げを決めるか。

時代? デザイン? 産地?

それは大概、修復士に委ねられるに違いない。







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