工芸の美
The Aesthetic of Crafts
ひょんなことでイギリスで巡り合った一冊の本。
ある古本市での事。
昭和2年から翌3年にかけて「大調和」という雑誌に執筆された
論文を纏められたものである。
著者は柳宗悦氏、日本の民藝運動の父であり、日本民藝館を
設立した人である。
この本は、1972年、昭和47年に柳宗悦選集の第一巻としては
発行されたものである。挿絵や、装丁に凝っている。
「用の美」と言う言葉。
「用の無いものには美は宿らない。」と宗悦氏は言う。
用があるが故に作られ、その用の為に奉仕し、そして愛着を
持たれた物達を工芸と呼び、そこに美を見出す。
工芸の美を簡単に見つけたければ、古作品に帰れと説く。
長く使われ続けてきたもの宿る物。
マテリアリズムと呼ばれる今日現在、次の世代までに
受け継がれていくものは幾つあるだろう。
その民藝運動のお手本にもなったイギリスの
アーツ・アンド・クラフト運動の父、ウイリアム・モリスがこんなこと
を言っている。
Having nothing in your house
that you do not know to be useful,
or believe to be beautiful
用が無いと思う物、
美しくないと思う物、
そんな物は、あなたの家に置いてはいけない。
古い世代の人間にはキンドルは不要かもしれない。
論文中にも出てくるモリスと同時代のイギリスの
思想家ジョン・ラスキンの言葉にこう言うのがある。
A Book worth reading is worth buying
読む価値のある本は買う価値のある本である。
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