Furniture: making and meaning
家具: 制作とその意味する所
ロンドンはヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下V&A)で
金曜日に行われたシンポジウム。昨年末、館内6階に新しく
出来たファニチャー・ギャラリーを記念したもの。
テーマは"Furniture: making and meaning"。
あえて、アンティーク家具だけにこだわらず、家具製作に
於ける普遍的なテーマと言う事ではないだろうか。午前中は、
簡単なニュー・ギャラリーの紹介と共に、ライブのカメラを使った
プレゼンテーション。
選ばれた、2つのオブジェクトは、18世紀はフランス宮廷に
納められたジュエル・キャビネット(宝石用のキャビネット)と
19世紀後期の世界博覧会に出品された蒔絵で飾られた日本の
重箱。
普通は、美術館、博物館に展示されている物は、正面しか
見えないもの。これは、カメラを使って蓋を開け、ひっくり返し、
奥の奥、隠し箱まで。試験的ではあるものの面白いアプローチ。
後半は、アール・デコ期に於けるシャグリーンと呼ばれる
サメ皮(エイ皮)の使用とべニアの発展史に、現在の
家具製作者/デザイナーのプレゼンテーション。
今回のシンポジウムでは実はこれが一番面白かったりした。
上の図は、ボーンファニチャーの制作者であるJoris Laarman氏
の使ったソフトウェアによる、椅子のデザイン。人間の体の構造を
削ぎ落としていくと骨格になるように、座と背だけを決め、
アルゴリズムを使いそれを支える機能を究極まで削ぎ落とした
状態=骨。
で、ボーンファニチャー。実際の椅子はアルミニウム製。
オーガニック・フォームの究極の形なのでは。
総合的には、やや内容の薄いなと思うところがあるものの、
面白い組み合わせだったと言う気がします。修復士にとって、
20世紀以降の新素材の知識は必須の今日この頃。べニア
と言ってバカに出来なくなってきました。
Furniture: making and meaning
Frideay May 17th
Hochhauser Auditorium, Sackler Centre
10:30 - 17:30
V&A
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