西洋家具ものがたり
"Stories of Western Furniture"
一見在り来たりに見えるタイトル。
今でこそ、家具は当たり前の様に存在する。日本人独自の
アイデア「和洋折衷」を産み出し、同じ家の中で、椅子に座り、
畳に座る。
和家具とほんの少しの例外を除けば、西洋家具が日本へ
入ってきたのは明治維新前後。まずは、現地で購入して、
持って来て、そして少しずつ国産で作り出す。国産家具で
廉価尚且つ良いデザインの物が登場するまで次の世紀を
待たなければいけなかった。
一時のの洋館ブームをさらに突き詰めると、こういう物語たち
が生まれる。建物は残っていても、家具はあまり残されて
いないのが現実でそれは数多くある予感にも当てはまる。
ヴィクトリアンのナーシング・チェアーの形を持ち、蒔絵装飾に
菊の御紋のついた椅子。生のアール・ヌーボーやアール・デコ
の影響を受けた家具達。
しかし、本の序文の「はじめに」で著者の小泉和子さんは指摘
する。
「長いことこうした家具の少ない住様式を取ってきたために、
日本人があまり家具というものに対して関心を持たなかった
ことは確かである、、、、、、。」
本文に出てくる家具達で、大切に保存されていた物は少な
かったそうだ。大部分がただ放置されていたか、あるいは
廃棄寸前であったという。
インテリア・コーディネーター養成講座等の掻い摘んだ家具史
ではなく、本当の意味で、日本の家具史を知るには面白い本
である。
「西洋家具ものがたり」
小泉和子 著
河出書房新社
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