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2013/08/20

盗難天国?

Theft Heaven?

「日本で盗難のルノワール絵画、英競売で高額落札

何週間前かの新聞で見た記事。

2000年に東京で盗まれたルノワールの絵が今年ロンドンの
サザビ
ーズで落札されたという。

Photo_2

これを読んで、ある本をふと思い出した。

20年ほど前に出たブライアン・フリーマントル氏の著作
「The Octopus」(邦題はユーロマフィア)。もともと新聞記者だった
フリーマントル氏がヨーロッパを16000キロあまりを走破して
取材した渾身のルポである。

1992年にECからEU(欧州連合)に変化を遂げ、2004年には
ポーランドなどの東欧10ヶ国が加入。さらに連合が広がっていく。
それと同時に犯罪組織もヨーロッパ中に広がっていく。

そういうタイミングで書かれたこの本。

その中に「芸術の為の芸術」(Art for Art's Sake)という章があり、
美術品、骨董の盗難がいかに国際的に行われているかが
描かれている。


記事にも出てきた
The Art Loss Register(以下ALR)と言う団体。
ロンドンに本部を置き、過去盗難にあった作品のデータベースを
統括している。その出資者にはその当時4大オークション・ハウス
と呼ばれていた、サザビーズ、クリスティーズ、フィリップス、
ボナムスや世界最大の保険屋ロイズが名を連ねた。

世界中の多くの美術館、博物館が美術品を購入する際に、必ず、
その盗難品リストを確認する。もちろん買う方にとっても盗品は
リスクなのである。それは、本が書かれて、20年余りも経つ今も
変わっていない。最近ヨーロッパの問題を見るとリスクはむしろ
増えているのではないかと思われる。

ALRの責任者が曰く、そのルノワールはデータベースにも登録
されていなかったし、言葉、時差の問題があるとはいえ、日本は
美術品盗難に関しては対応の悪い(遅い)国の一つであると。

フリーマントル氏も、著書の中で、日本のヤクザとイタリアの
マフィアの関係を指摘している。バブル崩壊前に印象派の絵が
多く関税を通らず持ち込まれた事。さらに、日本の法律では
(書かれた当時)、盗難されて、2年以上経つと、持ち主の所有権
が無くなってしまうという。つまり、2年過ぎた後にその作品を発見
しても返せとは言えなくなってしまうとう事が述べられている。

今でもそうだとは思わないが、第二次世界大戦時に、ナチスが
ユダヤ人から多く強奪したものが、その後何十年も経って、発見
され元の持ち主に返還されているのを見ると、日本の法律の方
が奇異に見える。

ロンドンのスコットランド・ヤードには美術骨董品のセクションが
あり、そのホームページでも盗難された物リストを見ることが
出来る。
美術品、骨董の盗難は今も後を絶たない。盗まれるのは、個人
からに限らず美術館などの公的な場所からの場合も多い。

23年前に起きたアメリカ史上最大の美術品盗難とされるボストン
にあるイザベラ・スチュアート・ガードナー美術館の容疑者が
特定されたと今年3月にFBIが明らかにした。つまり、23年間
盗難した犯人よりはむしろ絵画を追い続けているわけである。
これが文化を守ると言う事なのだろうか。

さて、この辺の美術品・骨董品に関する日本の法律はどう
なっているのだろうか?? さすがに、フリーマントル氏が書いた
ザルの様な法は改定されたのだろうが、もしそのままだったら
まったく怖いことである。





追伸)誰か知っている人がいたら教えてください。



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