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2013/09/02

Filling

補填

Dscf1628

18世紀のフランスの椅子で、タペストリーの座面の周りに鋲打ち。
座から手すりに繋がるサポートの部分には精細な彫刻が入る。

オイル・ペイントでマグノリアのような色(白をベースに、ほんの少
しの黄色)に塗装されていた(今はかなり汚れているが)。

今でこそ、鋲は真鍮のプレス製だが、その当時の鋲は真鍮の
鋳物製。刺さる釘の部分もかなりごつかったりする。

Dscf1679

タペストリー、スタッフィングを取ってしまうとこんな感じ。椅子張り
に使われるタックスと呼ばれる小釘。いくら小さくとも、打ち込んで
抜くと、1㎜角強の穴が開く。

その行為は、一回の椅子張りだけでも、力布に始まり、その上の
ヘシアンと呼ばれる黄麻布、馬毛のスタッフィングを留めるカリコ、
この上に微調整でスタッフィングを入れまたカリコで下張り。

そしてこの上に張地が来て、その上に鋲打ち。下の彫刻分の
上側2㎝程の所に、それだけのタックスや鋲が打たれる。

古ければ古い椅子ほど、その張替え回数が多いのは道理で
その分フレーム自体にタックスや鋲の穴でぼこぼこ穴が開き、
最悪、部分が欠損してしまったり、割れてしまったりする。

特に鋲は、毎回同じラインに打つため、そのラインで座枠の材が
真っ二つに割れてしまうことままあったりする。


さてその穴たちを何で埋めるか??


また、新しい生地を張られてしまう、座枠をどうやって補強するか
と言うのはいつも悩みどころである。

伝統的には、ソウダストと呼ばれる鋸の切粉に膠を混ぜ補填材
を作り、穴を埋めていく方法だが、それでは不安な時もまま存在
する。

膠の代わりに、フィッシュ・グルーと呼ばれる魚ベースの接着剤
や2液製のエポキシ樹脂、切粉の代わりにマイクロバルーンと
呼ばれる極小のガラスの玉などを使うバリエーションが存在
する。

写真の椅子は、膠と切粉で埋められている。

Dscf9050_2

これは、フィッシュ・グルーとマイクロバルーンを使った例。
スペインもしくはポルトガルで作られたと思われるテーブルの
裏側。

どこに何を使うかというのは、個々の家具で違うことが多い。
その家具はどこでどう使われるのか、クライアントは
どうしたいのか、強度や美的価値観を考慮に入れると、
それほどオプションは多くないが故に、何がベストかと言うの
は自分の中では結構永遠のテーマの中の一つであったり
する。



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