« リュールマンのデイ・ベッド | トップページ | 電気が無い »

2013/10/27

働く椅子

Working Chair

Dscf1844

ヘンリー8世の時代から続くあるギルドの講堂で使われている
椅子である。質の良いマホガニー(キューバ、もしくは
ジャマイカ産??)製のチッペンデールの時代の意匠を持つ
背もたれ。

素材、プロポーション的には、18世紀中期のオリジナルとも
いえないではないが、隅木の構造を見た感じでは、もしか
するとヴィクトリアン初期に作られたジョージアン期の出来の
良いプロダクションでなないかと言う可能性は否定できない。

Dscf1848

後付けの隅木が座枠の角の内側にネジと膠でつけられている。

隅木の右上にある、座枠の三角形の欠きこみ。これがもともとの
ブレース(Brace、かすがい式の隅木?)と呼ばれる隅木の跡。

P1020785  

両脇、座枠の内側に三角形の欠きこみがあり、上から膠付け
軽く叩きこむ構造になっている。上の後付けの隅木と違って、
下からは取れないので、これを作り直す、もしくは新しい膠を
入れて叩きこむ時は、上の張地を剥がさなくてはいけない。

それ故に、裏から後付けの隅木で補強なんてのはよく見られる
修理法の一つである。

シェラトンの時代ぐらいから使われ始めた方法で、
ビクトリアン時期にはこれが後付けの隅木の様なネジが併用
される物に変わる。

Sam_3216_2

そのブレース以前は上の様なブロック状の隅木。大概は2パーツ
で膠のみで接着、椅子の主材と同じ材が使われることが多い。

18世紀前半、俗に言うウォルナットの時代、マホガニーの時代の
初期には隅木自体が無いことが多かったりする。

Dscf1850

オリジナルのブレースは、隅木に変えられ、座枠ですら、
正面から見て右側の材以外は交換されている。200年あまり
座り続けられてきた椅子。

何度、座の生地を張り替えてこられてきたことだろう。正しく
使い続けられて来る限りは見える部分の損傷は摩耗以外
それほど多くはない。

しかし、人間の重さを受け止める力布は座枠に打ち込まれて
いる。力布自体に係る力は、全て座枠によって受け止められ、
脚に背中に伝わっていく。

さらに、この椅子には装飾の真鍮鋳物の鋲が座枠の一番下
に横一列に打ち込まれていて、それが何回も続くと、その
ラインでバックリ座枠が裂ける。その為に、漆器の淵で
使うような布着せがされている。
前側の角もその一つで、黒い布が見える。

Dscf1854

それにしても細部まで、しっかり作られている。背ずりの裏側も
きっちと面取りがされていて、作りの良さがうかがわえる。

次に修復される時には、オリジナルの座枠はすべて無く
なってしまうかもしれないなあ、、、。






« リュールマンのデイ・ベッド | トップページ | 電気が無い »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 働く椅子:

« リュールマンのデイ・ベッド | トップページ | 電気が無い »

フォト

instagram

2024年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ