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2013/11/26

「Flemish 17th Century Lacquer Cabinets」

「17世紀フランダース地方の模倣漆のキャビネット」

Dscf1939

フレミッシュと言うのは聞きなれない言葉かもしれないが、
あの「フランダースの犬」のフランダースの事と言うと、「ああ」
と言う人が多いかもしれない。

模倣漆と言えば、英語で言うジャパニング。イギリスで1688年に
発行されたストーカー氏とパーカー氏の
「ジャパニング、ヴァーニシィングの為の指南書」が有名だが、
イギリスにアジアの漆が伝わったのは比較的後のはず。

最初は、地中海貿易の拠点であったベネチアがあろうと想像が
つく。10世紀頃から、イスラム商人を通じてシルクロード経由で
品物がベネチアに来た中に、中国や他の国の漆器が混ざって
いても不思議ではない。

さらに、スカリオラと言う貴石、準貴石、マーブル等のの
模倣技術がすでにあり、ペインティングのマーブリングなどの
技法がそのままその漆を模倣するのに流用されたのではないか
と思う。

北イタリア、南ドイツ辺りの流行が、ベネチアと取引のあった
フランダース地方へと伝わって行った可能性と同時に、その頃
のフランダース地方はスペイン・ハプスブルグ家が支配をしてい
た。そして、大航海時代の始まりにより、ベネチアの力は衰え、
次第にスペイン、ポルトガルへ移っていく過程で、その技術や
デザインが発展していったのではないか。

Dscf1942

スペイン的な黒と白のボーダーに、アジア的な裏側に赤い
ペイントがされた鼈甲。フランダースと言うよりはオランダ的な
波の様な黒檀製のリップル・モールディング。イスラム的な
アラベスク模様の装飾。この時代の様相を表している様な
組み合わせかもしれない。

Dscf1941

そのカラフルなアラベスク模様は、黒檀への象嵌になっている。
シェラックをベースに顔料を混ぜ、その彫り込んだ部分を
埋めている。その埋め込んだ中に、マザー・オブ・パールと
呼ばれるアコヤ貝などの貝の小片が埋め込まれている。

このタイプの装飾を持つ家具はそれほど多くはない。
めぐるましく変わっていくヨーロッパのある地方でほんの短い間
に作られた物に違いない。


"Flemish 17th Century Lacquer Cabinet"
Wilfried De Kasel & Greet Dhont
2012
Stichting kunstboek bvba
ISBN 978-90-5856-373-6

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