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2013/12/31

Baleen

鯨髭

鯨と言われると、捕鯨の問題がすぐ頭に思い浮かぶ。

世代的には、給食に出たクジラ肉の竜田揚げや渋谷、道玄坂
にある「くじら屋」の方が強いが。

捕鯨は古来から日本を初めてとする東アジア、北極に近い地域
で行われてきた。もちろん、食べるためで、日本では捨てるところ
のないぐらい全てが使い尽くされるのが常とされた。

が、ルネッサンス以降、スペインのバスク地方を中心とした捕鯨
が蝋燭の代用として鯨油が持てはやされると、次第に欧米の
鯨の乱獲が始まり、数が激減、そして今現在の捕鯨の問題に
至る。

鯨の髭は、様々な物に使われてきた。構造的に爪と同じで、
サーモ・プラスティックの特性を持つ鯨髭。ただ色が、同じような
鼈甲と比べて、暗く使い勝手悪いためか、正倉院の如意を
除けば、古くは鎧や刀の柄に、近世以降では櫛や靴ベラなどの
実用品に使われることが多いように感じられる。

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ヨーロッパでは、髭が主に使われたのは、ファッション業界。
女性のドレスの形を作る骨やコルセットに主に使われた。

18th_century_arctic_whaling

図は18世紀のオランダ人の捕鯨の様子。基本的には鯨油の為の
捕獲の為、かなりの数が捕獲され、かなり大規模な業界だった
ことが伺える。その余剰物であった髭に目を付けたのは彼の地に
いたイギリス人、ジョン・オズボーン。鯨髭の型押し技法での成形
で特許を取る。

その型押しパネルが、その当時流行であった黒檀製の家具の
装飾として使われている。

Doomer

彫刻のように見えるパネルはすべて鯨髭製である。

Lades

リップル・モールディングと呼ばれる黒檀製の回し縁に鯨髭の
パネル。引き出し部分の前面部。

Unnamed_1

上はミラーのフレームの一部。

製作者はハーマン・ドゥマー(Herman Doomer 1595?-1650)。
あのレンブラントの描いた肖像画が残る、この時代の家具作家
の第一人者である。高価な黒檀の代替品として鯨髭に目を
付けたようだ。ただ、時代の流行が明るいマルケトリーに移りゆく
につれ、手間のかかるこの技法は瞬く間に廃れてしまった。

Dscf9283

長時間煮込んだ鯨髭を銅の型に当て、裏から鉛の
カウンターモールド。圧力をかけ、完全に乾くまで放置。かなり
精巧な、パネルが出来る。色によっては、そのまま磨くだけ。
または、黒檀に色味を合わせるために黒のシェラックが上に
塗られることも多い。ただ、自然の素材の為か、作られた時代が
あまりにも短すぎたせいか、現存するものは多くない。





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