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2014/03/25

象牙

Ivory

象牙の不法取引についてブログで書いたのが1月の事。
記事→「Elephant Poaching

そして先月にあった2つの出来事が、骨董商やコレクター、
修復士等多くの人を巻き込む騒動になって今に至っている。

1つ目はアメリカ政府が象牙取引についての取り決めを発表
した事。
昨年のEUのワシントン条約の基づく新しいガイドラインよりも
厳しくなっていて国内への象牙の輸入の完全禁止(これは
アンティークも含む)。アンティーク(100年以上経った物)に
限っては輸出や国内取引は限定的に出来るようだ。

アフリカ象の象牙の為の乱獲を防ぐ為のかなり厳しい処置に
見えるが、ゲーム・ハンティングで自分で撃ち殺した象の象牙は
2本までアメリカ国内に持ち込む事が出来るという、今まで言って
きたことと矛盾するような一項目が付加されているのは不思議で
ある。

これに対して、再考を促す抗議の声を上げたのが骨董商や
アメリカに多い根付のコレクター団体である。大正期に多く作ら
れた良品の根付のほとんどはまだアンティークに属さない。この
動きがアメリカ政府のガイドラインに影響を与えることが出来る
だろうか?

もう1つはロンドンであった野生動物の不正取引に関する会議
でのウイリアム王子の発言。

「バッキングハム宮殿にある全ての象牙製品の破棄を呼びか
ける。」

P4williamgetty
この発言に対して、元祖アンティーク鑑定番組アンティーク・
ロードショウの名物エキスパートや修復士が反対する旨を公に
発表している。

芸術性の高い過去の宝物を壊しても、インパクトこそあるが、今
現在のアフリカ象を守るのに何の役にも立たないと。
殆どの不法取引された象牙が中国を筆頭としたアジアに行く
現実。絶滅するまで狩り続けなければわからないの人間の性か。

工藝における象牙の位置は極めて高い。つまり象牙と言う素材
無しでは成立しえない工芸品が多く存在する。日本の根付や
置物等はその代表的な1つ。固すぎず軟すぎず、そしてあの光沢
が最大の象牙の魅力。
プラスティック素材の象牙モドキもある。色も、模様も良く出来て
いるが、それを彫刻の素材とすると、全く役に立たない。固すぎ、
粘りがない、光沢が出ない。

新製品としての象牙、古い物を直すための象牙。いかに、需要と
供給のバランスを取るか。19世紀には殺した象の脚をぶった
切って傘立てを作って玄関に置いてしまうイギリス人。その彼ら
が象を守るために声を上げている。

客観的にみると、捕鯨の件と全く同じような気がするのは私だけ
であろうか??



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