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2014/04/06

Spread of Inlay

木象嵌の伝播

無地の素材の上、もしくは彫り込んだ中に、違う素材を
乗せ(入れ込み)文様、または絵を画く。

このアイデア自体は、古代エジプトの時代から存在し、希少で
高価な素材でその物を装飾する際に使われてきた。

Tutankhamun_throne

ツタンカーメンの玉座に代表されるように、黒檀や象牙で本当は
作りたかったのだろうが、それが出来ない為の最初は苦肉の策
であったに違いない。

が、そこへ幾何学模様や繰り返しの模様を用いることで、
高級素材を使った芸術作品へと昇華した。

そして、その後、中東、北アフリカの伝統工芸になった。

Img_4

日本語で木画と呼ばれるその技法で装飾された多くの作品が
正倉院宝物に存在する。上もその一つ。

箱根の寄木細工やイギリスのタンブリッジ・ウェアを彷彿とさせる
その装飾。直線を多用する文様ではまだ糸鋸、もしくは糸鋸に
相当する物はなかったに違いない。
Img_9

法隆寺献納宝物であるこの木画箱、唐、隋の時代の物とされるが
はっきりとした断定的なことは言えない。さらに、中国ではこの
時代この手の装飾が施されたものが一つも現存していない。

中東からシルク・ロードを渡って、この技法が伝わったのか、
それとも、その物がやって来たのか定かではないが、まだ
アラベスク模様などのイスラム教的な特徴は見受けられない。

この木画と言う言葉は、この手の装飾を一手に表わす、上手い
言葉だと思う。英語ではインレイ(Inlay)やマルケトリー(Marquetry)
等と技法的な所で呼び方が変わるが 「木で画く」と言うこの表現は
全てを包括してしまう。

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同じような時代のエジプトの木画のパネル。次第に宗教的な影響が
顔を出しだす。
イスラム教の影響が地中海に伸びるにしたがって、その影響が根
を伸ばしていく。スペインではTaraceatと呼ばれるこの技法。
イタリアではIntarsia

9apisataracea_2

未だに、スペインのアンダルシアやグレナダ、イタリアのソレント等
伝統工芸として残っている。

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中東ではペルシア語でKhatamと呼ばれるアラベスク的な技法が
やや形を変え継続し、後にインドに伝えられSadeliとして知られて
いる。

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本当の意味での木画と言うのはユーラシア大陸の東西を繋いだ
モンゴル帝国以降、中国絵画の影響を受けたルネッサンスが
花開き、宗教的な意味合いが少し薄れて初めて完成したのかも
しれない。

026

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18世紀の終わりから19世紀にかけてほぼ同じような時期に人気を
博した寄木細工とタンブリッジ・ウェアの存在も面白い。

イスラム教、モンゴル帝国の影響を一番受けなかった、東西の
両端の国で同時発生的に同じスタイルの装飾が出現したと言う事は
どういうことであろうか??

疑問は何時までも続く、、、、。



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