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2014/05/22

Satinwood Dressing Chest

サテンウッド製化粧用チェスト

Dscf2667

人類の歴史の中で、化粧と言う行為は古くから行われてきた、
が、化粧の為の専用の家具がいつ頃から作られたかはあまり
はっきりしない。

化粧に欠かせない、鏡が一般的になったのが18世紀以降。

始めはドレッシング・テーブルと呼ばれる引き出し付の小ぶり
のサイド・テーブルに、トイレット・ミラーと呼ばれるポータブルな
鏡を置いて化粧をしていた。

それが家具製作の技術の向上、中流階級の増加(需要の増加)
等の時代の流れと共に様々な形のドレッシング・テーブル
(チェスト)が産みだされていった。(イギリス家具の黄金期と呼ば
れる18世紀後半に出版された一番有名な3人の家具の
デザイン書、チッペンデール、ヘップルホワイト、シェラトンの
デザインにも含まれる。)

Dscf2662

このサテンウッドのベニヤで飾られたドレッシング・チェストは
シェラトンの時代18世紀から19世紀に変わる頃の物。

木工の技術力の発展により、一つの用途以上の目的を持つ
家具を作ることが可能になるが、今の家具と違って、基本的に
構造は木製、接着剤は膠であるこの頃の家具。ぎりぎりの強度
で作ってあったりする。

つまり遊びの部分が著しく少ないため、壊れてしまった場合、
その部分を補強するのにえらい厄介だったりする。

このチェスト、一番上の引き出しを開けると、
ブッラッシング・スライドと呼ばれるウールのフェルトが貼ってある
天板が顔を出す。

そのスライドを押すと、、、、

Dscf2665

その下に隠れているコンパートメントが顔を出す。

真ん中には立てられる鏡。その脇には、様々なサイズの小箱。
ガラスのボトルやピン・クッション、ペン置き等がある。

この一番上の引き出し、かなりの重さになるが、特別な構造で
支えられている。

Dscf2663

引き出し側面。

真ん中にスライディング・バーの欠きが見える。左下の半円の
切り込みは引っ張り出すと、インク・ビンが出てくる。

Dscf2647

スライディング・バーはせいぜい1㎝厚。

欠きが引き出しの側面とチェスト側面の内側にあり、引き出しを
目いっぱい引き出した時にこのバーが唯一引き出しの体重を
支える。

Dscf2649

組み立て時に、背面から差し込むことになる。

バーはCの字のひっくり返った形で見える。引き出しと、チェスト
を繋ぐ唯一の物。

Dscf2650

ストッパーが螺子止めされる。

システム・キッチンなんかで使われる引き出しの構造と
まるっきり同じである。ただ、今の家具はその一番強度が
かかるところに金属が使われている。それ故に、この頃の物は
摩耗が激しく、一番先に破損するのもこの部分だったりする。

その為か、この時期これだけ流行ったこの形態も19世紀に入ると
すっかり影を潜める。やはり強度的に問題があったと思うべきか。

今では、誰もこの家具を化粧用としては使わないだろうが、家具と
しての完成度は著しく高い。出来れば、このままの状態で残したい
家具の一つである。



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