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2014/06/29

「続 職人衆昔ばなし」

"Old tales from craftsmen again"

Dscf2967


既刊の「職人衆昔ばなし」の続編と言うよりは、雑誌「室内」での
連載が終わった後、職人さんの職種により若干掲載順を変更
し纏められたものの下巻と言う趣。

過去のブログで紹介した「ウィンザーチェア大全」の中に
この本から引用された"ウインザーの松本と呼ばれた男"という
小話が紹介されている。これが、この本を知ったきっかけで、
家具・木工関連で言うと、建具師、指物師や椅子張り師、家具師
等が紹介されている。

昭和35年5月  中沢楢太郎 大工 明治14年生まれ
昭和35年3月  大津鉄吉   大工 明治18年生まれ
昭和35年2月  森武平    大工 明治31年生まれ
昭和34年10月 川端惣吉   建具 明治20年生まれ
昭和35年1月  田中才次郎 建具 明治20年生まれ
昭和34年12月 川口政雄   建具 明治30年生まれ
昭和36年3月  蒔田常次郎  左官 明治10年生まれ
昭和36年9月  溝呂木義郎  指物 明治37年生まれ
昭和36年12月 横山吉次郎  塗装 明治33年生まれ
昭和37年2月  綱島常吉   塗装 明治37年生まれ
昭和37年3月  蒲生生次   塗装 明治40年生まれ
昭和36年1月  竹本金太郎  鳶 明治26年生まれ
昭和37年10月 九重年支子  織り 明治37年生まれ
昭和35年11月 鈴木次郎吉  作庭 明治4年生まれ
昭和35年8月  岡村仁三   数寄屋大工 明治17年生まれ
昭和35年7月  小林丹治   宮大工 明治22年生まれ
昭和39年1月  松本敏太郎  家具 明治32年生まれ
昭和39年2月  古谷松雄   家具 明治38年生まれ
昭和39年3月  井上源之介  家具デザイン 明治29年生まれ
昭和39年6月  清川直英    箪笥 明治33年生まれ
昭和39年7月  小谷誠市朗  銘木屋 明治22年生まれ
昭和39年8月  湊庄吉     材木屋 明治18年生まれ
昭和39年4月  国井喜太郎  技術指導者 明治16年生まれ

一読して思うのは、明治の時代はかなり面白い時代だったに
違いないといこと。明治以降、大々的に外国人と
コミュニケーションを取ることを許された庶民が、良い意味でも、
悪い意味でも変わっていかなければならない時代。

自分が家具が専門なせいもあるが特に洋家具製作に関しては、
興味深い口述が多い。

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例えば、イギリスでも19世紀以降主流になったシェラックに関して、

"アルコールを四割入れて延ばすところから「四割シケラックニス」
って呼ばれたそいつを、アメリカから日本に持って来たのが、実
はあたしの親父なんだよ。


と、1870年頃の事を述懐していたり、


家具材に関しても、

"特に官庁家具はみんな最初は春慶塗りにきまっていたもんだ。
材は豪華なモミ、ヒバ、ケヤキ、ちょっと落ちてもナラってところ
で、官尊民卑の国らしいや。"

"明治初年には長崎に行って、五年頃から芝で椅子を作って
いたんです。"


こんな風に、洋家具製作の日本での始まりなんてのがあって一挙
に西洋のスタイルを吸収していったことが想像出来ます。

この2冊でインタビューに答えてくれた職人の方々の多くは、恐らく
亡くなられているのではないかと思います。それでも、残された
人間がこういう心持を少しづつ引き継いで行かなければなら
ないんだろうなあと切に感じさせる一冊でした。

「続 職人衆昔ばなし」
斉藤隆介著
文芸春秋刊







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