「職人衆昔ばなし」
"Old tales from craftsmen"
昔いた工房で定期購読していたインテリア雑誌「室内」。
昭和30年に創刊した「木工界」が、36年に「室内」と言う名前
に変更されたそうです。資料によると、この職人昔ばなしは、
30年代中頃から、40年代の頭にかけて連載されたものを
2冊に纏めたものだそうです。
私自身は、自分の生前前に連載されていたものなんかは
もちろん知らないし、知ったのは偶然。
ここには、27編の様々の職人衆の人生が描かれています。
もちろん知らないし、知ったのは偶然。
ここには、27編の様々の職人衆の人生が描かれています。
昭和35年6月 味方寅治 大工 明治33年生まれ
昭和35年4月 木所仙太郎 大工 明治23年生まれ
昭和34年11月 川村富太郎 建具 明治10年生まれ
昭和36年8月 茂上恒造 指物 明治28年生まれ
昭和36年10月 小川才次郎 指物 明治9年生まれ
昭和35年12月 田中米吉 鳶 明治32年生まれ
昭和36年2月 池戸思楽 左官 明治22年生まれ
昭和36年7月 田丸恵三郎 畳 明治36年生まれ
昭和36年5月 新井茂作 瓦 明治23年生まれ
昭和36年5月 中村勝五郎 石屋 明治19年生まれ
昭和35年10月 飯田十基 作庭 明治23年生まれ
昭和37年1月 長谷川信太郎 漆 明治17年生まれ
昭和37年4月 磯崎祐三 塗装 明治27年生まれ
昭和37年5月 林中之助 竹芸 明治44年生まれ
昭和37年6月 林二郎 家具木工 明治26年生まれ
昭和37年7月 村松喜市 塗装 明治29年生まれ
昭和37年8月 岩田藤七 硝子 明治24年生まれ
昭和37年11月 樋口金正 飾り職 明治40年生まれ
昭和37年12月 高野松山 蒔絵 明治22年生まれ
昭和38年1月 片岡華江 螺鈿 明治22年生まれ
昭和38年2月 中村鶴心堂 表具 明治25年生まれ
昭和38年4月 岡村多聞堂 表具 明治37年生まれ
昭和38年5月 陳乞朋 ほねや 明治28年生まれ
昭和38年6月 藤代重 漆 明治34年生まれ
昭和38年7月 筒井辰次郎 椅子張り 明治25年生まれ
昭和38年8月 佐藤重雄 組子 明治44年生まれ
昭和41年1月 土田一郎 目立て 昭和3年生まれ
業種は様々、殆どの方は明治生まれ。イギリスの暦で言うと、
ビクトリアの時代後期から、エドワーディンと言う具合。
今の中学生の歳の頃に日本の師弟制度である丁稚奉公で
その職の師匠の所で住み込みで働き始めます。その丁稚
が終わる20歳代の初めにはいっぱしの職人です。
東京に住んでる方が多かったので、関東大震災、東京の

業種は様々、殆どの方は明治生まれ。イギリスの暦で言うと、
ビクトリアの時代後期から、エドワーディンと言う具合。
今の中学生の歳の頃に日本の師弟制度である丁稚奉公で
その職の師匠の所で住み込みで働き始めます。その丁稚
が終わる20歳代の初めにはいっぱしの職人です。
東京に住んでる方が多かったので、関東大震災、東京の
大空襲を経験し、全ての方に一貫して聞かれるのは、戦前、
戦後で大きく変わってしまった事。
明治以降、大きく社会は変わりつつも、日本人の事ですから
西洋一辺倒ではなく、良いとこを上手く日本流に変化させ
ながら俗に言う西洋化をしていったのが、戦後はそれこそ
一辺倒に押しつけられた形で発展していった綻びが色々な
所に出てきたのだろうと思います。
そういう意味では、本当の職人と言う人達が生まれる土壌は
もうすでに残っていないのかもしれないと言う事。
その上、本書の中で多くの方が、後継者の存続に関して、何か
手を打たないと拙いと思っている。50年ほど前のインタヴューで
危惧されていた問題、今ではさらに状態は悪くなっているのでは、
と思ます。蒔絵の筆や日本画の膠、職人さんがいないために
作れなくなっていくものがどんどん増えていくでしょう。
一番上に書いたように職人を英語にすると"Craftsman"と言
う訳が出てきます。でも何故かしっくりこない。全てが
サラリーマン化しているこの世の中では、何を持って職人と
呼ぶかは凄く難しい気がします。私が思うに、それは技術
だけでなく、気の持ちようであったり、仕事への取組みで
あったり、いかにその職業にプロフェショナルであるかに尽きる
戦後で大きく変わってしまった事。
明治以降、大きく社会は変わりつつも、日本人の事ですから
西洋一辺倒ではなく、良いとこを上手く日本流に変化させ
ながら俗に言う西洋化をしていったのが、戦後はそれこそ
一辺倒に押しつけられた形で発展していった綻びが色々な
所に出てきたのだろうと思います。
そういう意味では、本当の職人と言う人達が生まれる土壌は
もうすでに残っていないのかもしれないと言う事。
その上、本書の中で多くの方が、後継者の存続に関して、何か
手を打たないと拙いと思っている。50年ほど前のインタヴューで
危惧されていた問題、今ではさらに状態は悪くなっているのでは、
と思ます。蒔絵の筆や日本画の膠、職人さんがいないために
作れなくなっていくものがどんどん増えていくでしょう。
一番上に書いたように職人を英語にすると"Craftsman"と言
う訳が出てきます。でも何故かしっくりこない。全てが
サラリーマン化しているこの世の中では、何を持って職人と
呼ぶかは凄く難しい気がします。私が思うに、それは技術
だけでなく、気の持ちようであったり、仕事への取組みで
あったり、いかにその職業にプロフェショナルであるかに尽きる
と思うのですが。
既に廃刊の本ですが、アマゾンなどで意外に簡単に手に入る
本です。是非是非、若い層に読んで欲しい。文庫本やキンドル
でも手に入りますが、ハードカバーの物をお勧めします。
紙の上に印字されたものの手触りが何ともいい。やっぱり本は
紙だなと思うのです。
「職人衆昔ばなし」
既に廃刊の本ですが、アマゾンなどで意外に簡単に手に入る
本です。是非是非、若い層に読んで欲しい。文庫本やキンドル
でも手に入りますが、ハードカバーの物をお勧めします。
紙の上に印字されたものの手触りが何ともいい。やっぱり本は
紙だなと思うのです。

「職人衆昔ばなし」
斉藤隆介著
文芸春秋刊
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