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2014/09/14

時の翁

先日、オークション・ハウスで目に留まった真鍮と鼈甲のマーケトリーで装飾された時計。

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あれ、どこかで見たぞと思い、パラパラと本をめくると、

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ロンドンのウォラス・コレクションに似たような物が収蔵されていた。

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さらに、足回りの違うバージョンも、同コレクションに存在している。

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ロサンジェルスのゲッティ美術館にもほぼ同一の物が収められている。

私が、オークション・ハウスで見た物以外の下の3つは18世紀初頭の制作とされる。真鍮と鼈甲のコンビネーションのマルケトリーで有名な家具作家ブール作ではないかとされている。

しかし、このタイプ、18世紀を通して作られたとされるが、どのように作られていたのだろう?

この頃の鋳物はサンド・キャストと呼ばれる方法。元になる物(恐らく木を彫刻されたもの)に対し砂で型を作って、元の木型を取り除き、その空間に溶けた真鍮を流し込んで作る。その一番最初に出来た物をある程度綺麗し、雛形として使うと手間はかかるが同じ物を何個も作ることは可能である。

一番上の物は19世紀後半の物とされていて、誰かしらが100年以上前のデザインをコピーしたと言う事。その雛形が代々受け継がれた工房があったのか、現存の物からダイレクトにコピーしたのかは定かではない。

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この時計のデザインは、16世紀の初頭にPordenoneの構図を、Da Carpiによって木版画に移され、出版されたものが使われたとされる。

上にいるキューピッドは普段持っている、弓ではなく、悪魔のような大鎌を持っている。下にいる人物は時の翁(Father Time)と呼ばれる。

時の翁は、片手に砂時計、もう片手に大鎌を持ち、背には時の象徴の翼、顎には豊かな顎髭、そしてローブを着ている姿で描かれる事が多い。

それで、キューピッドが大鎌を持つ理由がわかるであろう。

ギリシア神話ではクロノス、ローマ神話では
サトゥルヌスと同一視されるそうだ。


19世紀には、家具のデザイン上で多くの古典復古が起こった。特にフランスでは、過去のデザインのリバイバルだけではなく、俗に言う完全コピーが多く作られた。何故、そういう需要があったのか。如何にコピーをしたのか。未だによくわかってないことが多い。

ことは、アーコールの復刻品みたいに簡単ではないと言う事。

やはりその頃の、社会情勢を知らなければ、理解出来ないと言う事か。





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