Back To Basics
基本に返る
"Back to basics!!"
作業をしている僕に向かって、同僚が呟いた言葉である。
世の中が、あまりにも便利になりすぎて、何でもお金で買えてしまうので、ついつい忘れてしまう、こういう基本的な事。家具製作であれば、釘を作る事や、板を製材する事。道具を作る事。日本の職人さん達は、自分たちで使う鉋は自分で作った。
現代の家具でも多く使われるべニア。日本では突板と呼ばれるように、今では鋸で挽かれた物ではなく、ナイフのような刃物でで削がれる物と言う認識が強い。
しかし、もともとべニアは上図のように鋸で挽いて作っていた。だから厚みも、全て同じ厚みでなく、挽いた後に調整する必要があったはず。
現代のバンドソーを使っても、カットする目安は1/16インチ厚(1.6㎜程)。
バンドソーの切った後の歯跡が木目にに沿って対角に見える。
この時の、べニアの目標厚は1㎜だったので、ここから、厚みを削ぎつつ、表面を綺麗にしていく。
キャビネット・スクレーパーなんかも使えるが、ここではブロック・プレーンを使用。このマホガニー中米産だと思うのだが、導管に白いチョーク分が多く残っているのがわかる。その木が育った土にチョーク分が多く含まれていたに違いない。
表面を綺麗にした後に、ツーシング・プレーンと呼ばれる鉋で木目に沿って縞々の溝を付けていく。これで躯体に膠で糊づけする準備が終了。
買ってきたべニアを、現代の接着剤で張り付けるのにはこんな手間はいらない。
イギリスでは家具の黄金期と呼ばれる18世紀には、どこの家具工房もこのような下準備をしていたに違いない。恐らくしていたのはまだ、マスターになっていない子弟。かなりの重労働だが、鉋のかけ方や、刃の砥ぎ方、こうやって、少しづつ覚えていったのではないかなあと思うのである。
Fine Woodworking Magazineにこんな記事があった。
→記事
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