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2014/11/23

Manik Bagh

マニク・バグ

先週土曜日リニューアル・オープンした旧浅香宮邸である東京都庭園美術館が日本のアール・デコ・インテリアの最高峰なら、このインドールにあったマニク・バグはインド・アール・デコ・インテリアの最高傑作と言えるかもしれない。

第一次世界大戦前後に起こるこの直線を基調とした無機的なデザインは、近代生活を象徴する工業製品、マス・プロダクションと言った時代の流れとの調和を図る動きから派生したものだが、その一方、大量生産における大衆的な物とは正反対に位置する高価な材料をふんだんに使った、高価な家具が多く作られたのがアール・デコという時代であった。

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このインドールはマハラジャのホルカー朝によって建立。このマニク・バグはホルカー朝最後のマハラジャ、ヤシュワント・ラオ・ホルカー2世によって発注。1908年生まれの彼は留学先のイギリス・オックスフォードで出会った若きドイツの建築家エカート・ムチエジウス(Eckart Muthesius)に依頼。多くの家具は、リュールマンやグレイ、ペリアン、サグノと著名なアール・デコ・デザイナーによってデザインされた。


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1980年にモナコのサザビーズでマニク・バグの家具調度が一斉に競売に掛けられた。その時のオークション・カタログはいまだにプレミアがつくほどの高価な値段(カタログにしては)で取引されている。
その後も、ちょこちょことオークションには顔を出していたが、先日亡くなった、カタールの首長家であるサーニー家の王子であり過去10年の世界のオークションでの最大の購買者であるサウド・ビン・ムハンマド王子は、そのマニク・バクの家具の最大のコレクターであった。(ロンドンのビクトリア・アンド・ビクトリア博物館で行われた展覧会「マハラジャの至宝」展でも多くの家具調度を貸していた。)

現在はこのマニク・バグは国の財務省の管轄になっている。 
有ったものが、有るがままに残されているという事は、ものすごく有難いことかもしれない。昔から何も変わらないように見えても、その裏では、何も変えないという努力が、多大なるお金と労力によって支えられているということを忘れてはいけないと思う。







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