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2015/02/08

Scroll-back Chair

スクロール・バック チェアー

スクロール・バックと言うよりは、ビクトリア時代のキッチン・チェアーと呼んだ方が、ピンとくるタイプの椅子かもしれない。

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ウインザー・チェアー・タイプの椅子で大量生産化され始めた最初の椅子。むしろ大量生産化するために背ずりの形状を曲げ木を使わず簡素にし、作り易くするためにデザインされた椅子。

しかし、大量生産とはいっても、生産初頭の物と19世紀の終わり頃の物では大きく変わってくる。19世紀初頭にはロンドンの人口が100万人程だったのが、20世紀に変わるころには670万人に増加。それに伴い、生活必需品の需要も大幅にアップ。勿論家具生産業もその煽りを受け、その需要を満たすために、どんどん数が作られた。

想像の通り、熟練工の不足、時間・工程の短縮、デザインの簡略化。質の低下は避けられず、今、見てもあまり欲しいと思わせるこの手の椅子は多くない。

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このスクロール・バックのタイプの椅子、ロンドン郊外西部のテームズ河が流れるチルタンと呼ばれる地方で作られていたようだ。座面はやや四角。オックスフォード辺りで作られていた物に似ていなくもない。

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裏には綺麗な鋸挽きの時に付いたマーク。縦じまのラインが見える。間違いなく蒸気を使ったバンドソーで切られた時の物に違いない。

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脚は細い。良くある上が3つリングに下が1つリングではなく、下は壺の形。

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アーム部のサポートはビーハイブと呼ばれる蜂の巣のデザインからの流用に見える。19世紀初頭のリージェンシーの時代に流行ったデザインである。

人が座って、擦れるであろう内側は磨れてしまい、その部分がつるつるになっているのが印象的である。

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アームは、いたってシンプル。摩耗で表面が凸凹になっている。

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面白いのは、大概のこの手のアームチェアーは背ずりからアームの後ろ側に向かってネジが打ち込んであり、螺子の頭を隠すようにダボが打ってある。しかし、これはその代わりにカット・ネイルと呼ばれる恐らくハンドメイドで作られた釘が打ち込まれている。

見る限りオリジナルと思われるこの釘。


こう見ると、大量生産が本格的に始まる以前のスクロール・バックの初期型なのではないかと思う。年代で言うと1830年から40年ぐらいか。


しかし、座面がこうだと座った時どう感じるのであろうか??

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綺麗な椅子に言葉(説明)はいらないとつくづく思う。




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