Chair by Paul Evans
ポール・エヴァンスの椅子
これを見て、何を想像するろうか??
昔見た、アニメのロボット? それとも、積木のパズル?
実は、椅子の後ろ側。
基本素材は、鉄。メインの下のフレームは、鉄の丸パイプに鉄の板材を溶接し他だけの物。
その上に、一体化の座面、背ずり部分が乗っかり、ボルト、ナットで固定されている。
アメリカ人の作家、ポール・エヴァンス(Paul Evans 1931-1987)の作品。
デザイナーであり、造形家であった彼の作品は、「アート・ファニチャー」と言う言葉で形容される。19世紀末の、産業革命による大量機械生産品に対するアンチテーゼとしてのアーツ・アンド・クラフト運動のように、彼の作品は、既成の大量生産品の中で異彩を放つ。
座、背に小釘で貼り廻られされた銅版は、サンダーで独特のパターンが施されている。所々によっては緑青で緑に変色している場所もある。
さて、それは作品が出来た後に、外部からの水分での影響で出来た物だろうか、それとも、もともと作家のある意図によりつけられたものなのだろうか。
長く使われていく中で、間違いなくメンテナンスをしなければいけない時が来る。特に、もともとの作家が亡くなった今では、その緑青が意図的な物なのか、その後の錆に相当する物なのか判断がつかない。そこが、俗に言う「アート・ファニチャー」を修復する時の難しさなのだろう。
脚には独特の溶接跡の飾りが施される。
勿論上の部分にも。
ちなみに、黒いフェイク・レザーは被せてある部分は、プライウッド製。
トップの技術、素材、デザインの複合である、18世紀の家具とは違って、技術は、恐らく普通(?)、素材は在り来たり、表現方法としてのデザインがこの椅子における価値であるとするならば、人々はそこに云十万というお金を払うのか。
特に近年の、アートを購入する人々は投資目的の側面が大きかったりすると、そのデザインにすらお金を払っていないことになる。
俗に言う、ブランドはその機能性を保証する。その上に、デザインと言う要素を加味し、その物に付加価値を付け、値段を付ける。
さて、ヴィンテージやアンティークと呼ばれる物の値段は誰が決めるのだろう?
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