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2015/06/24

「日本人と木の文化 インテリアの源流」

"Japanese and Wood"

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ひょんなことから巡り合ったこの本。

実はこの本、ネット上で全部読めたりする。

大阪の中川木材産業さんの「木の情報発信基地」のホームページ。

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最初に気になったのは、この第5章の最後あたり、「広葉樹を身近にした洋家具」「隣国の意外な木の使い方」「東西で異なる木肌の好み」。日本における洋家具の黎明期に関心が高い自分としては、どんぴしゃのサブジェクト。

著者の小原二郎さんは木(木材)の専門の他に、インテリアにおいて人間工学と言うジャンルを確立させた第一人者でもある。

一般に木を考える時、広葉樹は針葉樹が構造的に進化したものだそうだ。そう単純に言われると、人間の性で広葉樹の方が針葉樹よりも偉いように感じてしまう。しかし、日本人は昔から針葉樹を建築に彫刻にと使ってきた。


その代表はヒノキで、世界で最古の木造建造物は、そのヒノキで出来ている。ヒノキは切られ、製材され使われて200年たった時位が、一番強度が高い。そこから1000年程かけて元の強度に徐々に落ちていくそうだ。

無垢の家具ついてよく言う、「100年かけて育った木で作った家具は100年持つ」というのは、かなり過少評価で、適度にメンテナンスと乱用さえしなければ、いつまでも持つに違いない。

この本の中でサブジェクトはかなり多様に渡る。第一章の「木の魅力と日本の住まい」では、いかに日本人の普段の生活が木に密着してきたか、続く第二章から第五章までは、大仏などの彫刻に使われてきた木材の移り変わりを探り、第六章で木の構造、最後の第七章で木の流通についてが書かれている。

一読すると、あまりにも日本の木について知らないことに驚かされる。センダンやコウヤマキ、カヤなどは多分見てもわからないし、明治期の初めにオークの代用として使われたケンポナシ、その後ヨーロッパに輸出されたナラ。

やはり家具と一口で言っても、その背景に目を配らないと見えてこないものが多いと改めて思わせてくれる一冊であった。

「日本人と木の文化 インテリアの源流」
小原二郎著
朝日選書 262
朝日新聞社
1984年発行







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