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2015/06/14

William IV Chair

ウイリアム4世時代の椅子

Dsc00905

椅子の前足の意匠の中に、これはウイリアム4世時代の典型的なデザインだと言われる物がいくつかある。

ウイリアム4世がイギリス王だった時代はわずか7年余り、それも60歳を超えてからの即位。その短い間に、新しい意匠が産みだされたのだろうか。

彼の前の時代は、彼の父である"マッド・ジョージ"と呼ばれた
ジョージ3世の、そしておそらく水銀中毒によって執政が執れなくなってからは彼の長男であり、ウイリアム4世の兄であるジョージが摂政として、そして父の死後はジョージ4世のであった。

兄のジョージ4世の時代は摂政時代を含めるとかなり長くトップの座に居座り、金使いの荒い放蕩息子と呼ばれていた彼は、政治そっちのけで国費を使いまくり。そのおかげもあって、今現在の王室のコレクションには良い物が残っているのはそういう理由で有ったりするのだが。

その反動もあったのか、弟のウイリアム4世は、基本的には軍人(そして政治家)であったせいか、華美なことを好まず、質素な物を好んだようで、兄によって内装を派手にしたバッキング・パレスは好まず、ブライトンのロイヤル・パビリオンによく行っていたようである。

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シェラトンデザインのシンプルな物から、フランスのエンパイアー様式をを受けた
リージェント様式に変わり、次第に挽物脚が現れ、それにリーディングと呼ばれる縦筋が彫り込まれたものに変わっていく。(下の写真参照)

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その後に来るのが、彫刻が施された脚。所謂、ウイリアム4世様式なのだが。かといって、椅子全体に違いはそうはない。リージェンシーからのサーベル脚の流れをくむデザインであり、南洋趣味的なローズウッドなどがまだ好まれている。

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この椅子も、今ではサイテスと呼ばれるワシントン条約に引っかかるブラジル産のリオ・ローズウッド製。この硬い木を良く彫りこんである。

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しかし、この意匠もあっという間に消えていく。次の新しく、若い女王(ヴィクトリア)が誕生したことで、"マッド・ジョージ"、放蕩息子、おじいちゃん王と今まで続いた旧泰然としたデザインが次第に忘れらていったのではないかと思うのだが。

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シート・フレームのサイドは無垢のローズウッド、前後の部材はブナにローズウッドのべニアが正面に張り付けてある。




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