旧東宮御所の家具 その3
Furniture from former Crown Prince's Palace #3
この家具は、納品したフルディノアの設計図にも載っており、No.33 上部大理石鍍銅金物付寄木家具という名称で呼ばれている。その当時、こう呼ばれていたか、便宜上、今現在こう呼んでいるのかは定かではない。
が、19世紀後半のフランス製であれば、金物は真鍮(一般にブロンズという言葉を使うが、金属組成上ブロンズより真鍮に近い)の上に鍍金されているはず。でも、これが本当に鍍銅されているとすれば、日本側からの何らかのリクエストの可能性があり、またこれはこれで面白いとも思うが。
ポータブルの蛍光X線分析器で確認したいなあとつい思ってしまう。
19世紀末の家具作家で最も著名なLinkeもこのコモドのレプリカを作っている。
このLinkeという家具作家。パリで工房を構えてはいたが、もともとはオーストリア・ハンガリー系の人。ドイツで修業したせいもあって、几帳面。そのせいか、彼の書いた図面や明細などの日々の書類がかなり残っていて、その当時のことを垣間見る事が出来る。
このコモドは、家具ナンバー10で、フォンテーヌブロー・コモドとして彼の書類に残っている。ちなみに1894年の製作明細表で、製作費総額が3160フラン。そのうち鍍金されたオルモルと呼ばれる飾り金具の製作、加工、取り付けが、びっくりすることにその総額の半分近くを占めている。
旧東宮御所に納品された時(1907年)には6500フランをこのコモドに払っていて、第一次世界大戦まではそれほど物価の変動がないこと考えると、その家具の製作者はフルディノアへいくらで卸したのか、そしてフルディノアはこの斡旋でいくら懐に入ったのかなんて下世話なことをつい考えてしまう。
果してこのコモド、いまだに迎賓館赤坂離宮に現存するのだろうか??
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