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2015/10/05

「文明開化と明治の住まい」

Cultural Enlightenment And Living Style in Meiji Era」

Dsc01496_2
著者の中村圭介氏の名前を知ったのは、インターネット上で幕末からの椅子のデザイン小史という記事を見つけてから。この記事は、商工省工芸指導書から発行していた「工藝ニュース」に載っていたもの。  1973年の発行の物に載っているこの記事、後にも先にも、明治期前半の椅子に焦点を当てた物はいたって少なく、いつも文献探しには苦労したりする。 幕末からの公式の場、公共の教育機関等での椅子座の使用開始から、皇室、官庁、財閥系や華族が推し進めた欧米化政策。試行錯誤の上、国産の洋家具を確立させた、と、一言でいえば、明治期の日本の洋家具はこんなものだが、なんせ現物が残っていない。 一般人が椅子座に馴染みだすのはそれこそ、大正デモクラシー以降、インテリアという概念が出てくるのもその頃なので、それ以前は建築という箱に焦点が当てられていて、付属物として扱われていた家具。 明治の初めに外国人の為の迎賓館として建てられた延遼館の椅子が、その後も鹿鳴館や明治宮殿でも使いまわされている実情を知ると、そもそも椅子としての個体数が少ないのが想像出来る。 明治期の洋家具に興味がある私としては、洋風建築の流れと付随する形で作られていった家具を写真で見られるだけでも有難い感じはする。 本書の趣旨としては、洋の宮中、和の庶民を含めて、幅広くトピックスが集められているので、この時期の日本の生活文化を検証する上でも面白い一冊である。 が、日本の工芸のジャンル分けにおいて家具というカテゴリーが確立されていないためか、専門家でもひょんな勘違いをしたりする。 Dsc01497_2 輸出漆器の世界では有名な家具である。オランダ、ハーグのハウス・テン・ボス宮殿にあるキャビネット・オン・スタンド。1680年ごろの製作。1684年の財産目録に載っている。 長崎の出島をデザインした面白い物であるが、鎖国後の1636年に出来た出島がデザインされているので明治の輸出品という記述がある。 点と点をつなぐ、線と線をつなぐ、もしくはジクソ-パズルの無くなったピースを埋めるのが所謂歴史家、研究家の仕事である以上、国内と国外、西と東、過去と現在をつなげた大きな枠での家具というジャンルは大切だなあと思ったりするのである。 Dsc01498
 


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