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2016/04/19

FHS 40th Symposium

家具史学会 第40回シンポジウム

先日、家具史学会(Furniture History Society)の恒例のシンポジウムがロンドンのウォラス・コレクションであった。

第40回を迎える今夏のテーマは「輝きと美しさ-室内の色(Bright and Beautiful: colour in interior)」。

プログラムは以下の通り、

*Nick Humphrey, Curator, Furniture, Textiles and Fashion Department,
Victoria and Albert Museum
"Painted Furniture and Woodwork in Britain before 1650 "

*Dr Wolf Burchard, the National Trust
"Between Theory and Practice: Charles Le Brun and colour
at the Academy and Gobelins"

*Dr Ian Bristow, independent scholar
"Conventions of Colour Usage before Goethe and the Advent of
later Theories in Colour Harmony"

*Yannick Chastang, independent conservator
"Colour in Marquetry: a generation of new work"

*Jurgen Huber, conservator, the Wallace Collection and
Marc-André Paulin, C2RMF workshop, the Louvre
"True colours revealed: Marie Antoinette’s commode and
other Riesener pieces at the Wallace Collection and the Louvre"

*Lucy Wood, independent scholar
"Taste and Invention in English Painted Furniture c. 1780-1820"

*Dr Alexandra Loske, Department of Art History, University of Sussex and Curator of the Royal Pavilion, Brighton
"‘A Splendour of Light and Colour’: the history of colour at the Royal Pavilion"

*Dr Sally-Anne Huxtable, Principal Curator of Modern and Contemporary Design, National Museum of Scotland
"Colour and the Artistic Interior in Britain, 1850-1900"

かなり濃いーーい内容である。

5時に終わったときはぐったり、お腹いっぱい。





イギリスで一番古い砦であるドーバー城の修復プロジェクトの過程で出てきた室内のカラースキーム。意外だったのは俗にチューダーと呼ばれる時代の家具。オーク材が主の濃い茶色の家具を思い浮かべるが、実は彩色がしてありかなりカラフルだったこと。


色調の問題は、今の現在の色、色調、カラースキームを本当として頭がインプットしている為、いざこれがオリジナルの色ですよと言われても違和感を感じてしまうということ。日本の大仏やギリシャの彫像、このあとの講演であった家具の色然り。


元々色は、古代の神々やそれに付随する感情や状態と深くかかわりがあって、今現在の色がただの色であるカラースキームのアイデアが出てきたのは19世紀も後半の事。内装の壁が白く塗られたのもその時期が最初らしい。モリスやマッキントッシュの時代の事である。




2つ、家具のマルケトリーの色に関する講演。
家具の色に関してはマリー・アントワネットの家具を例に、どのような染料を使ったのか、そしてその染料がどのように退色するのか、オリジナルの状態ではどうだったのかというのが主題。



旧東宮御所にも納品された物のオリジナル、18世紀のライズナーのコモド。


Riesener_commode

上は、現赤坂迎賓館に未だ現存するもの。ただし、19世紀のコピー。

その18世紀のオリジナルの、右側マーブル・トップ下の鍍金された金物を外してみると、


Img261

緑に見えるところが、丁度金具があった下の部分。紫外線の影響が少なくまだ色が残っている。

しかし、これは科学調査から元々は青だった事がわかっている。

その新しい色を、同じ家具作家ライズナーがアントワネットの為に作った家具の上にコンピューター上で合成してみると、


Digital_reconstruction_detail

使っている材が若干違うので、一様に比較はできないが、その元の色と、現在を比較してみると、


Digital_reconstruction

右半分が現存の色、左が元々はこうだったんじゃないかという色。あまりの違いにびっくりするに違いない。

だが、修復を依頼する顧客が、修復してくれと言っても、左の状態を依頼されることはまずないだろうなと思う。



人の目のあやふやさいかに。

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