Long Stool
長椅子
張地はニードル・ポイントと呼ばれる刺繍(タペストリー)の一種。日に焼けて色褪せた経年変化が良い具合になっている長椅子。
デザイン的には、18世紀初頭のアン女王の時代。猫脚と呼ばれる、カブリオーレ脚の形状が流行しだした頃。
丁度、この頃から、ジョージ一世の時代にかけて一番人気の材がウォルナットからマホガニーへと移行していく。
フランスから来ていた材が、悪天候の影響で輸出中止になり品薄になったとか、中南米から来ていた荷物の梱包に使われていた雑材だったマホガニーに誰かが気付いたとか、理由は様々な要因の複合なのだろうが、それが、その家具の時代を推定する上で、いい意味での目安になっている。
というのが、修復を始める前に思った事。
特に、ウォルナットは虫にやられやすいせいで、数的にあまりいいコンディションで残っていない。
この間聞いた話だが、オークションでもマホガニーの物より、ウォルナットの物は値段が落ちるらしい。マホガニーの物より古いのにだ。
まず、このスツール、オリジナルの18世紀前半につくられたものではなかった。
接合部が、ホゾ組みではなく、ダボ組み。少なくとも19世紀後半以降という事になろうか。
しかし、絶対見ただけではわからない。
このスツールの持ち主はどう思っているのか、ちょっと興味があったるもする。
たとえ、そう思ったとしても、その予想は100%ではない。昔はホゾだったのに、壊れたから切って、ダボに変更したかもしれない。
だから、言い様によっては、俗にいう鑑定なんてそんなものである。
しかし、持ってても悪くない一品。
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